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もうけの落とし穴

商標で保護できる範囲の落とし穴

開発したロボットの特徴的な動きをネーミングに反映し、商標登録をした。
しかし、全く似たような模倣品を見つけたので警告したら、なんと・・・<平成28年度制作>

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どんな落とし穴だった?

A社は、新商品を開発した。新商品は技術的にもデザイン的にも特徴があったが、A社の社長は、商品のネーミングに、技術的特徴やデザイン的特徴を表現する言葉を入れて商標登録することにより、それらの特徴を保護できるのではないかと考えた。ただし、特徴をそのまま表示しただけでは登録にならないとのことだったので、少しひねりを加えた表現のネーミングとした。しばらくして、他社から似たような商品が販売されたので、商標権に基づいて警告しようと専門家に相談した。すると、他社の商品名はA社の登録商標とは類似せず、警告は難しいと言われてしまった。

この落とし穴に落ちないために

技術やデザインに特徴がある商品の場合、基本的には特許法や意匠法による保護を検討することになります。しかしながら、その技術的特徴やデザイン的特徴を商品のネーミングに取り入れて商標登録することも、よく行われます。例えば、「○○君」や「△△ちゃん」などです。

これらの商標は、「○○」や「△△」の部分が、その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状、生産方法、使用方法、使用時期その他の特徴を表示するだけであるため、「君」や「ちゃん」を付けたり、あるいはロゴマークを追加するなどして、商標登録されています。

しかしながら、商品の技術的特徴やデザイン的特徴をネーミングに取り入れて商標登録したとしても、技術やデザイン自体を保護することはできません。他社の商品名が登録商標と類似していない限り、商標権に基づいて侵害を主張することはできないのです。
ただし、商品の技術的特徴やデザイン的特徴をネーミングに取り入れることは、広告宣伝的には効果的と考えられますし、商品の特徴を端的に表すことができれば、他社商品との差別化も図ることができます。

従いまして、商標登録により何が保護されるのかを十分に理解した上で、販売戦略において効果的なネーミングを検討されることをお勧めします。

信末 孝之

弁理士

三原・信末特許事務所

特許・実用新案・意匠・商標の権利化や侵害問題に精通。企業の知的財産戦略策定の支援も行う。技術分野は、生活用品、一般機械、運輸、土木建築、制御、メカトロ、コンピューター(ハード)、ソフト、情報処理、通信、電気・電子回路、ビジネスモデルなど。