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もうけの落とし穴

他社の製品を真似した時の落とし穴

おしゃれなデザインがウケていたA社の商品を、ライバルB社が真似ようと考えた。念のため意匠登録がないことを確認し、模倣品の商品販売を開始。するとA社から「不正競争防止法」に基づく警告が!<平成21年度制作>

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どんな落とし穴だった?

A社が販売する商品は、そのデザインが好評で順調に売上げを伸ばしていた。それに目をつけたライバル企業のB社は、A社の商品のデザインを真似た商品を販売しようと考えた。念のため、B社はA社の商品が「意匠登録」されていないか調査し、登録されていないことを確認。そして、B社はA社の商品のデザインを模倣した商品の販売を始めたが、A社から不正競争防止法に基づき警告を受けてしまった。

この落とし穴に落ちないために

物品のデザインは意匠権によって保護されますが、この意匠権は、特許庁に対して意匠登録出願を行い、新規性や創作非容易性などの登録要件の審査を経た後に登録されるものです。一方、不正競争防止法では、「他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡等する行為」が不正競争とされており、模倣された側には、差止請求権や損害賠償請求権が認められています。この不正競争防止法では、「不正競争行為」が法律で限定的に列挙されており、「不正競争行為」に該当する場合には、登録手続きを要することなく、差止請求権や損害賠償請求権が与えられます。この点で、意匠権のような登録により権利を発生させるものとは異なっています。従って、意匠登録がなされていないからといって、売上げを伸ばそうと安易に他社のデザインを模倣することは、危険な行為であるといえます。
なお、上記の不正競争行為は、日本国内において最初に販売された日から起算して3年を経過した商品については適用されません。しかしながら、物品のデザインについては、この他にも、不正競争防止法の「商品等表示」に該当するケースや、著作権の保護対象となるケースなど、様々な保護が考えられます。

信末 孝之

弁理士

三原・信末特許事務所

特許・実用新案・意匠・商標の権利化や侵害問題に精通。企業の知的財産戦略策定の支援も行う。技術分野は、生活用品、一般機械、運輸、土木建築、制御、メカトロ、コンピューター(ハード)、ソフト、情報処理、通信、電気・電子回路、ビジネスモデルなど。