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もうけの落とし穴

画像意匠に関する落とし穴

時計を壁に照射するのを見た社長は、これはいい!と思い開発するロボットに採用。素敵なロボットが出来たと思いきや、時計メーカーから警告が~。いったいなぜ?<令和3年度制作> 意匠法改正について(外部サイト:特許庁)

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どんな落とし穴だった?

壁に時計が照射される機能を付けたロッボトの開発を行った。量産して販売しようとしたが、なぜか時計メーカーから侵害警告が送られてきた。

この落とし穴に落ちないために

これまで、意匠法の保護対象は「物品」に限られていましたが、令和元年意匠法改正の「保護対象の拡充」により、新たに「画像」デザインが保護されるようになりました(※)。背景には、IoT等の新技術の普及に伴いGUIの重要性が増したこと等から、これらのデザインを保護するニーズが高まっていたという事情があります。旧法においても、物品に記録・表示されている画像は保護対象でしたが、物品から独立した画像そのものが、新たに保護対象となったのです。具体的には例えば、本事例のような「壁に投影された時計の画像」や、「商品購入用画像(ウェブサイト画像)」、「アイコン用画像」等も意匠法で保護されるようになりました。

令和元年意匠法改正は明治以来の大改正ともいわれ、その目玉ともいえる「保護対象の拡充」においては、「画像」の他、「建築物」や「内装」デザインも新たな保護対象として加わりました。

このような保護対象の拡充により、これらの分野に関わる業界においては、より有効に活用できる制度となりました。一方で、他人の意匠権を侵害してしまうリスクが増えたことも事実です。そのため、新たに創作されたデザインを実施する際には、その前に意匠調査を行うなど、より他人の意匠権に留意する必要があるでしょう。

令和元年意匠法改正では、他にも多くの改正がなされました。詳しくは、特許庁の「令和元年意匠法改正特設サイト」をご覧ください。
https://www.jpo.go.jp/system/design/gaiyo/seidogaiyo/isyou_kaisei_2019.html

※パソコンの壁紙等の装飾的な画像や、映画やゲーム等のコンテンツ画像等は旧法と同様に保護対象となりません。

田中 咲江

弁理士

CPJAPAN総合特許事務所

前職は,国内アパレルメーカーにて,ファッションデザイナーとして従事。
商品企画・デザインのみならず,海外工場での現場指導業務なども行う。
その後,特許調査会社を経て特許事務所に入所。特に,商標及び意匠を得意とし,国内外の多くの案件を手掛ける。
セミナーや講演の依頼も多く、公的な活動も積極的に行っている。