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もうけの羅針盤

知財総合支援窓口を活用しブランド化成功!

けん玉業界で絶大なる人気を誇る「夢元無双」ブランド化成功の鍵は、知財総合支援窓口の活用!中小企業にとって窓口活用とは?<平成27年度制作>

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この知財の開発元

株式会社イワタ木工

広島県廿日市市栗栖611

https://iwata.fun/

電話番号(0829) 72-2204

FAX番号(0829) 72-2219

代表担当:代表取締役社長 岩田知真

開発ストーリー

  • けん玉世界大会

  • 商品の夢元無双

けん玉業界で絶大な人気を誇るブランドけん玉「夢元無双」

ここ数年、欧米を中心に若者のストリートカルチャーとして注目を浴び、世界的なブームとなりつつあるけん玉。広島県廿日市市のイワタ木工が製造するけん玉ブランド「夢元無双」は、職人が一つ一つ丁寧に手作りで仕上げるけん玉は光輝き、まさに伝統工芸品ともいえるほどのけん玉です。
アメリカ・ヨーロッパで販売するとすぐに完売し、ネットオークションでは高値がつくほどの人気ブランドとなっている。
そのけん玉「夢元無双」のブランド化をするにあたり、イワタ木工の岩田社長は、知的財産権の取得が必要だと考えていた。その際に活用したのが、「知財総合支援窓口」です。

知財総合支援窓口リンク:https://chizai-portal.inpit.go.jp/area/
知財総合支援窓口についての動画はこちら

  • 夢元無双展示

  • 岩田社長コメント

「知財総合支援窓口」でブランド化への道が拓けた

知財総合支援窓口は、中小企業や個人事業主の方々が企業経営の中で抱えるアイデア段階から事業展開までの知的財産に関する悩みや課題を一元的に受け付け、知的財産に携わる専門家や支援機関と連携してその場で解決を図るワンストップサービスを行なっている。
イワタ木工の岩田社長は、日本国内の知的財産権は取得していたものの、海外での権利を取得していないことから「知財総合支援窓口」に特許権、商標権に関しての相談を行った。知財活用アドバイザーの森本さんは、海外出願豊富な弁理士を派遣し、海外で有効な権利化についてのアドバイスを行い、「夢元無双」によるブランド化を目指すことになった。
また、海外への出願費用を補助する外国出願補助金(中小企業等外国出願支援事業)を紹介し、海外ビジネス展開の支援を行った。

  • 知財総合支援窓口

  • 知財総合支援窓口相談風景

中小企業等外国出願支援事業リンク:https://www.jpo.go.jp/support/chusho/shien_gaikokusyutugan.html
補助金利用により、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、中国で商標を登録。海外で安心して販売を進めることができ、けん玉のプレミアムブランドとしての地位を確立することができた。
権利取得後も知財活用アドバイザーが、イワタ木工を訪問し、現在、新たな事業展開に向けて活動している。

知財活用アドバイザー夢元無双展示2

成功ポイント

知財戦略を考える時「3つの基軸」があります。それは「ニーズ」「シーズ」「ウォンツ」です。これらを明らかにして戦略にまとめるため、「『ニーズ』を『シーズ』で『ウォンツ(化)』する」と私は表現しています。

「ニーズ」とは、既に市場環境として顕在化しているもの。イワタ木工の場合、「世界的なけん玉ブーム」がこれに当たります。人為的に仕掛けてニーズを創り出すことも稀にありますが、通常ニーズは色々な要素が積み重なった結果自然発生的に生まれるものです。
「シーズ」とは、知財及びその基となるもの。イワタ木工の場合、「手作りの精巧な木工技術」がこれに当たります。イワタ木工も含め、ここではまだ「財産化」まで成されていない例が多い。
「ウォンツ」とは、未だ顕在化していない顧客の欲求である。「ニーズ」「シーズ」との組合せでこれを「ウォンツ」として顕在化させるのが「知財戦略」という事になります。イワタ木工の場合、ニーズとシーズを組み合わせて「ハイグレードけん玉製品」を世の中に提供したことがそれに当たります。ただ「ハイグレード」を訴求しても、ウォンツとは成りません。そこでイワタ木工では、過去からの根強いファンに認められた「シーズ」を武器に、これを「夢元無双ブランド」として商標登録することとしました。この知的財産権化は、法的にシーズを守り輝かせる事であり、専門家の知恵やアドバイスを必要としたため公的支援制度を活用した訳です。

更にビジネスモデルとして取り組んだのが、「けん先の交換チップ化」です。これは国際特許出願中であるように「発明」の観点からも面白い知財ですが、本体の売り切りだけでなく部品交換を促すという「継続して儲かる事業スタイル」としても優れています。最も壊れやすい部分をパーツ化し、そのパーツ自体を単体で「付加価値化」する。正に「弱点を逆手に取ったアイデアの勝利」と言えます。

イワタ木工は公的支援制度を上手く活用することで、『世界的なけん玉ブーム(ニーズ)』を『手作りの精巧な木工技術(シーズ)』で『知財武装したハイグレードけん玉製品(ウォンツ)』化したのです。

中小企業診断士・知的財産アナリスト 児玉学

児玉 学

中小企業診断士・知的財産アナリスト

大手情報出版社グループ、大手経営コンサルタント会社、都市再開発コンサルタント会社を経て1999年経営コンサルタントとして独立。
2000年 株式会社ファインサポート設立 代表取締役就任。NPO法人2つの理事、県立広島大学大学院の非常勤講師、広島県よろず支援拠点のサブコーディネーター等を兼務。
中小企業を中心に、200社以上の経営支援実績がある。