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もうけの落とし穴

商標を取得する時の落とし穴(1)

商標登録した新商品に、まぎらわしい名前が!すぐに警告して~っと社長は叫ぶ!し・か・し!警告できないと弁理士さんにいわれちゃった。ちゃんと商標登録したはずなのに何で警告できないの~!<平成21年度制作>

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どんな落とし穴だった?

自社ブランドの商標「CUTIE&CURLY」を出願し登録。そして「CUTIE&CURLY」の名称をシャンプーのラベルに表示して販売していた。 ところが美容室チェーンを展開するある会社が、「CUTIE&CURLY」という名称を、美容室の店名として使用していることが判明。社長は、美容室に対して、商標の使用をやめるよう警告しようと、専門家(弁護士・弁理士)に相談したが、その答えは・・・No!!! なんで? 商標登録って意味ないの?

この落とし穴に落ちないために

商標の出願の際には、出願する「商標」とともに、その「商標」を何の商品・サービスに使用するのかという「指定商品・指定役務」をセットで記載する必要があります。そして出願した商標が登録されると、商標権者は、他人が「登録商標又はこれに類似する商標」を、「指定商品・指定役務又はこれに類似する商品・役務」に使用する事をやめさせることができます。

反対に、いくら他人に登録商標を使用されたとしても、その使用が指定商品・指定役務やその類似範囲でない場合には、差し止めする事はできません。 上記のケースでは、A社の指定商品が「第3類 せっけん類」という商品に表示するものであるのに対してB社が使用しているのは美容室の店名であり「第44類 美容」というサービスに表示するものであり、両者は比類似の商品・役務であるため、侵害に該当しないことになります。

従って、A社としては、美容室の店名についても保護されたいのであれば、指定役務「第44類 美容」についても登録しておく必要があります。ただし、実際に使用しない指定商品・指定役務については、登録後に不使用取消審判により取り消される場合もあるので、注意が必要です。

信末 孝之

弁理士

三原・信末特許事務所

特許・実用新案・意匠・商標の権利化や侵害問題に精通。企業の知的財産戦略策定の支援も行う。技術分野は、生活用品、一般機械、運輸、土木建築、制御、メカトロ、コンピューター(ハード)、ソフト、情報処理、通信、電気・電子回路、ビジネスモデルなど。