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もうけの落とし穴

著作権に関する落とし穴

ロボットの売れ行きをよくするためにパッケージを外部に発注!売れ行きが良かったので、過去のロボットのパッケージも作ったのだが・・・<令和2年度制作> 産業財産権と著作権の違いについて(外部サイト:特許庁)

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どんな落とし穴だった?

ロボットのパッケージを外注したところ、売上大幅アップ!そのパッケージを過去のロボットのパッケージにも似たようなデザインで新たな外注先に発注して作った!売上アップしたのだが、なぜか著作権侵害の警告が・・・

この落とし穴に落ちないために

商品のパッケージは,場合によっては売上を大きく左右することもある重要なものです。特に食料品,飲料等は,消費者にはそのパッケージやラベルこそが当該商品のイメージとして記憶されるものも多いと思われます。

そのパッケージ等のデザインについて,お金をかけてデザイナーに依頼して作成してもらうケースもあれば,パッケージの制作会社にパッケージを発注し,その会社から納品してもらったものをそのまま使用しているケースなど,いろいろなケースが見受けられます。
特に後者のような場合には,そもそもデザインをしてもらったという感覚が乏しく,そのパッケージが広く知られて,会社にとっても重要となった後で,権利関係の処理がなされていなかったことが発覚し,大変な問題となるケースがあります。

当方から発注して制作してもらい納品してもらったのであるから,当然全ての「モノ」は当方のものであるとの認識が生じがちですが,納品してもらったパッケージの「物」としての所有権は取得できても,形のない「もの」である権利が当然に取得できるものではありません。
当該パッケージに関して著作権が成立しているような場合であれば,製造の委託契約のみでは著作権の譲渡まで受けているとは認められないことから,制作会社の承諾なく,他で制作(複製)を行うことは法的に認められないということとなります。

また,デザイナーに依頼して制作してもらった場合であっても,著作権の譲渡に関する契約がなされていなかった場合には,使用を許諾されている範囲以外,例えば特定商品のためのデザインの依頼であり,他の商品への使用ができないというような問題が発生する虞があります。

さらに,著作権の譲渡の合意があった場合であっても,著作者人格権は譲渡の対象とならないことから,その不行使の合意をしておかなければ,同一性保持権のため,当該デザインを加工することができず,他の商品のための改変することは勿論として,少し色を変えることさえもでない等,使用が制約されることにもなりかねません。

以上のように,パッケージ等のデザインについては,発注の時点でその後の使用がどのようなものとなるのかを想定のうえ,適切な契約を事前に締結しておく必要があります。

山本 英雄

弁護士

加藤・山本法律事務所

昭和62年弁護士登録、加藤・山本法律事務所に所属。
企業の監査役のほか、特許に関する講演やセミナーなど、知的財産に関し法的観点からの支援を行う。