文字サイズの変更
もうけの羅針盤

自社で独占するだけじゃない!知財活用で事業展開の拡大を目指す!

自社技術を特許で守るだけではなく、ライセンス契約で事業の拡大を図った。ライセンシーが地域でビジネスができるよう、様々なノウハウも併せて提供したことが成功への近道となった。〈令和元年度制作〉

動画をブログで紹介する

上記コードをはりつけてください

お使いのサービスによっては、正常に表示されない場合もあります

この知財の開発元

株式会社大協組

鳥取県米子市蚊屋235-2

https://www.daikyou-g.co.jp/

電話番号0859-27-0611

代表代表取締役 小山典久

開発ストーリー

産業廃棄物をリサイクル エコソイルR

製紙業などの企業が事業を行う中で発生する焼却灰。それを原料にして開発したのが独自に開発した建設資材。
焼却材に水、セメントなどを加えたものを混ぜ合わせ、水分を蒸発させることで特徴的な資材となる。
水分蒸発によって無数の穴を持つという特徴があり、水分の多い軟弱な地盤などに敷くことで水分を吸収し、強度な地盤を形成することが出来る。
大協組は、エコソイルRの製造技術の特許を取得し、独自製品として販売だけではなく、施工も手掛けている。

ライセンスビジネスで事業拡大へ!

大協組は、エコソイルRのライセンスビジネスを行い、事業拡大に成功している。
そのターゲットは、全国各地に存在する産業廃棄物処理事業者。特許のライセンスを受けた産業廃棄物処理事業者は、エコソイルRを製造することができる。それだけではなく、材を求める企業の販路開拓先の情報や施工方法など、事業を進めるための重要なノウハウを、大協組から特許のライセンスと一緒に提供をうけ、安心して事業を行うことができる。大協組は、特許だけではなくノウハウも一体化したパッケージとしてライセンスを行う。 それによりライセンスを受けた事業者は、地元の地域で事業展開を図ることが出来るのです。
現在、鳥取県以外の3つの地域で、このライセンスビジネスは広がっている。
大協組、そしてライセンスを受けた事業者はお互いに、WinWinの関係で結ばれている。

事業成功のカギは、INPIT知財総合支援窓口への相談

大協組は、特許の取得、商標の取得だけではなく、いかにライセンスビジネスを進めていくかという点で、INPIT知財総合支援窓口がアドバイスなどを行った。
特許の価値を最大化するには、いかにビジネスの中に組み込んでいくか、というのが重要だと、INPIT知財総合支援窓口の事業責任者の山本さんは言います。
自社で賄えない、知的財産権の取得から、ライセンスビジネスに至るまで、様々な知識やノウハウを持つ国の専門家を活用することは、ビジネスのスピードを加速する事にもつながり、また、新たなビジネスチャンスに結び付く可能性を広げることにも繋がるであろう。

成功ポイント

大協組様の「焼却灰リサイクル事業」が成功した要因として次の点が挙げられると思います。

  • 焼却灰等の産業廃棄物のリサイクルは難しく、需要はあってもコスト、品質などの理由で販売することは難しいという課題を前提に、マーケットインに基づき、焼却灰を原料とした資材の製造方法を研究開発したこと。
  • 研究開発成果を特許出願して特許取得しただけに留まらず、焼却灰の受け入れ、中間処理、リサイクル製品の製造、製品の販売施工までのトータルのノウハウを蓄積したこと。
  • 本リサイクル技術のコスト・品質等の優位性をNEW環境展、特許流通機関等を介して全国的にアピールしたこと。
  • 自社のキャパシティーの範囲での製造・販売テリトリーを確保した上で、お客様に商品を安く提供するため、運搬コストがかからないよう、日本中をいくつかのブロックに分け、ブロック毎に特許技術のみならずノウハウも含めてライセンスし、事業化を容易にしたこと。

上記の要因の相乗効果により、特許出願から2年半程度で最初の特許ライセンス供与まで持っていったスピード感は、素晴らしいと思います。
知財総合支援窓口は、特許ライセンスに至るまでにおいて、専門家による発明のポイントの捉え方の支援、特許流通コーディネーターと連携した特許ライセンスポリシーの考え方を支援しました。
その後も当社の継続的な知的財産戦略の展開に合わせ、商標出願、新規特許出願、特許ライセンスの支援を行っています。
知財総合支援窓口としては、特許の価値を最大化するために、いかにビジネスに組み込んでいくかを念頭に支援を行い、当社の事例を広げていきたいと思います。

【年表】
2005
焼却灰を固める研究スタート(低コストのリサイクル製品)
2008-2011
発明協会の相談員及び専門家との特許相談
2011.1.28
特許出願(特願2011-16148号) 「焼却灰を原料とした資材の製造方法」
2011.10.21
早期審査による登録(特許第4846876号)
2012.2
鳥取県版 特許集に掲載し、全国に本技術の周知
2013.3-7
リサイクル製品の商標相談
2013.5
New環境展出展(東京ビックサイト)予想を上回る反響
2013.10
栃木の会社との特許等実施許諾契約
・地域毎のライセンスお客様に商品を安く提供するため、運搬コストがかからないよう、日本中をいくつかのブロックに分け、ブロックごとに灰処理プラントを建設。その地域の焼却灰を再利用し、その地域で使ってもらう
・焼却灰の受け入れ、中間処理、リサイクル製品の製造、製品の販売施工までのトータルのアドバイスの実施
2014.5
New環境展出展(東京ビックサイト) 6県から具体的な問合せ
2017.4
福井の会社との特許等実施許諾契約
(知財総合支援窓口には、継続的な知財戦略を推進する中で、その都度、新規特許出願、商標出願、特許ライセンス等の相談)

山本 明良 公益財団法人 鳥取県産業振興機構 知的所有権センター

山本 明良

センター長

公益財団法人 鳥取県産業振興機構 知的所有権センター

1983年4月 鳥取三洋電機(株)入社後1993年11月弁理士資格取得。鳥取三洋電機(株) 知的財産部 部長、パナソニック (株) 知的財産センター 三洋電機IPオペレーション推進グループ グループマネージャー 等を経て、2014年4月より (公財)鳥取県産業振興機構 知的所有権センター センター長に就任。