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もうけの羅針盤

開発は進む!外反母趾対策くつ下

下請けからの脱却を目指し、自社製品開発に拍車がかかるコーポレーションパールスター。足関節の専門家・広島大学浦辺教授と強力タッグで新たな製品を開発。それは女性の約4割が悩む外反母趾への対策くつ下だ。<平成21年度制作>

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この知財の開発元

株式会社コーポレーションパールスター

広島県東広島市安芸津町三津4424

http://www.corporation-pearlstar.com/

電話番号0846-45-0116

代表者専務取締役 新宅光男

開発ストーリー

転倒予防くつ下

さらなる開発意欲

その「転倒予防くつ下」と連動しながら開発されたのが、2009年11月から販売開始された「外反母趾対策くつ下」だ。新宅光男専務は、くつ下の製品開発を通じて医療現場で足のトラブルに悩む多くの患者にふれあった。そして「日用品であるくつ下」で悩みを解決したいと開発の決意を新たにする。元々、コーポレーションパールスターの自社製品開発は、ある糖尿病患者から「冷えないくつ下」作りを依頼されたことがきっかけ。医療現場に対応できる機能をもったくつ下作りの方向性はその当時からのものだった。

広島大学浦辺教授との強力タッグ

足の専門家・広島大学浦辺教授との強力タッグ

「外反母趾対策くつ下」は浦辺教授との共同開発。「外反母趾」は、ただ足が痛いだけでなく、前後左右の重心バランスの崩れからくる歩行障害を引き起こし、高齢者になると転倒といった重大な事故に結びつく厄介な病気だ。浦辺教授は「高齢者外反母趾患者の転倒を予防したかった」とこだわりをみせ、外転筋を押圧して「外反母趾角」を減少させる画期的な機能をもたせた。

外転筋を押圧するパッド

混迷する開発!外転筋を押圧するパッド

パッド作りは困難を極めた。問題はその素材。直接、足に触れる場所だけに異物感や痛みを感じやすかった。1年半の歳月をかけ、色々な素材を加工して試したが失敗の連続。そこで多少の水分でも硬くならない布生地で実験。成功した。しかも、パッドの取り付けは全て手作業。熟練の技術を必要とするため他者では簡単には真似の出来ない製品に仕上がった。

コーポレーションパールスターは多くの多機能靴下を開発

自社製品比率が過半数に!

「転倒予防くつ下」で自社製品比率を45%にしたコーポレーションパールスター。「外反母趾対策くつ下」で過半数超えは明らかとなった。新宅専務は「つらいけど楽しいのが製品開発。困っている人のニーズに応えたくつ下を作り続けたい。開発はつづく。」と今後の抱負を語っている。

成功ポイント

持ちうる知恵を出し尽くす、成果は知られるからこそ生きてくる。
キーワードは“自問自答”

新しい商品が開発されました。執念と信念により開発された「転倒予防くつ下」。そして、さらに開発研究が進められ次なるアイデア靴下は「外反母趾対策くつ下」が商品化されました。注文に生産量が追いつかないほどだとか。

新宅氏は映像中で「商品開発に当たって常に“自問自答”を繰り返している」と話されています。商品開発や業務改善において「必要なことは?」、「これでよいのか?」、「もっとよくならないか?」、「なぜ、なぜ、なぜ・・・」。

頭の中で考えをめぐらせていると、ふとした瞬間にひらめくことがありますよね。これが様々な人とのコラボレーションを活性化させ新しい商品を生む源泉となるのです。非常に厳しい時期にありながら、執念の開発によって、売上は目覚しい勢いで以前の状況に回復を遂げています。新商品の比率が高くなってきていることからも、価格を自らが設定できる自社商品は企業にとって大きな力となることがわかります。

最後に新宅氏が「新しい社員の採用は現社員が入社を誘ったもの」。新商品により社員がまさに一丸となって発展していく。なんとすばらしいことでしょう。もちろんパールスター社は特許、意匠、商標を巧みに活用し自社に見合ったやり方で知財戦略もしっかりされています。そして、注目すべきはいかに商品を伝えるか。映像メディアを上手に活用し、なぜ良いのかをわかりやすく伝えるている点。単なる宣伝ではなく学術的な視点まで網羅していれば、商品の信頼とともに買ってほしい人へまっすぐにメッセージが伝わるものなのです。

実は私も母のためにすぐ購入してしまいました。映像で理解が深まり、おかげさまで専門家のようにうんちくを語ることができ、母にたいへん感謝されました。

桑原良弘 知財活用プロデューサー

桑原良弘

知財活用プロデューサー

ディスプロ

大手メーカーで生産設備や独自商品の開発設計・商品化に従事した後、コンサルティング会社にて、新事業・新商品の開発・知的財産の権利化に16年携わる。同時期に中国経済産業局特許流通アドバイザーとしても活躍。2007年より独立、製造業の顧問や地域機関と連動した企業の開発支援などに奔走中。