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もうけの羅針盤

未利用特許に注目!年間売上2億円UP

高温高圧の設備分野で国内シェアナンバー1の株式会社東洋高圧の経営上の悩みは、一品一様の受託生産体質にあった。リピートできる規格型製品の開発を模索していた折、自社技術を利用できる未利用特許と出会う。<平成20年度制作>

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この知財の開発元

株式会社東洋高圧

広島県広島市西区楠木町2丁目1-22

http://www.toyokoatsu.co.jp/

電話番号082-237-6255

開発ストーリー

開発ストーリーを語る、東洋高圧 野口社長

一品一様の受託生産

エネルギー、化学、環境、医療などの分野で高温・高圧の研究装置を受託生産していた㈱東洋高圧。経営状況も軌道に乗っていたが、企業や研究機関からの依頼は、カタログにのっていない装置を一から作り上げること。特殊な技術と高い判断力を求められるため、世代交代を視野に入れた際にリピートできる規格型製品の開発を模索していた。

対談する野口社長と、元・産学官連携コーディネーター壹岐正弘

未利用特許の情報収集

野口社長は、多くの特許を持つ発明家でもある。その縁で特許流通アドバイザー壹岐正弘さんとの親交を深めていた。いくつもの未利用特許の情報を紹介される中、広島県立総合研究所食品工業技術センター開発・所有する特許『調味料の製造方法』に注目。自社技術を生かした製品開発ができると即座に判断。約2か月で試作1号機が完成。約半年の試行錯誤の末、現在のタイプの基本形を固め、『食品処理装置』特許を取得。「まるごとエキス」の商標で販売を開始した。

まるごとエキス 子イワシの写真

まるごとエキス

酵素それぞれの活性しやすい温度“中温”を設定。水深10000m相当の高圧をかけることで分子同士のぶつかりあいを活性化。酵素分解の促進を促すことと同時に他の細菌類の繁殖を防ぎます。24時間経つと「まるごとエキス」の名前通り、まるごと液体エキス化され、調理方法の革新的技術として新分野を開拓している。

第3回新事業創出大賞 最優秀賞を受賞

新事業の創出成功

規格型製品による新事業で第3回ニッポン新事業創出大賞「最優秀賞」を受賞。化粧品メーカーや滅菌・殺菌など新しい分野からも注目を集め始めている。社員も製品開発前の20名から30名に増え、年間売上も倍増の12億円と伸ばしている。

成功ポイント

ポイントは、特許シーズとの出会いから始まり、持前の特殊技術力と外部知財をうまく噛合わせて短期間で試作機・量産機の開発を完成させ、売上実績を上げるという経営者の判断と機動力です。特にものづくり型企業でありながら器用貧乏で困っておられる事業家も多いのではないでしょうか。外部知財を活用することで新しい分野へ進出のチャンスをつかむことが期待されますが、外部知財導入に際しては、かけはなれた技術より、自社技術の延長上の分野を選択することが成功への道のりを最短にする可能性を秘めています。また、技術導入したからすぐ儲かるのではなく、儲かるために必要な活動(売れる商品化、販売戦略、企業連携、人材活用、公的支援活用など)もカギを握っているようです。

産学官連携コーディネーター 壹岐正弘

壹岐正弘

産学官連携コーディネーター(元)

ひろしま産業振興機構

産学官連携コーディネーターとして、中国エリアの多くの中小企業の「アイデア」を「知的財産」へと昇華させ、経営支援を行っている。