開発ストーリー
自社技術 × 大手技術 → 新技術開発へ「共創」
鳥取県鳥取市に工場を持つ「イナバゴム株式会社」。主に精密ゴムの成形や感圧導電センサーの開発・製造を行っている。そのイナバゴムが、ゴルフのパターに圧力センサーを装着してグリップの握り圧を計測するシステムの開発に成功した。
その開発に欠かせなかったのが大手企業「パナソニック」が保有する技術だった。
握る、掴むという動作は、三次元の動きであり、力を伝えるというのはとても計測が難しい技術で、イナバゴムは開発段階で大学と研究したものの、なかなか思うような成果が出なかった。
そんな時、イナバゴムの河原所長は、鳥取県産業振興機構の技術開発・知財を総合的に支援する山本センター長に「知財ビジネスマッチング会」に参加しないかと誘われた。そのマッチング会で河原所長は、パナソニックの開放特許技術を目にし、「この技術は絶対に使える。ゴムと組み合わせれば、面白いものが出来る。」と直感。その一方で、大手企業がそう簡単に技術を提供してくれるのか?という疑問も感じていた。
しかし・・・。イナバゴムの河原所長は、パナソニックの担当者西田さんと話をして、疑問は消え去った。パナソニックは、使ってもらうために公開しているのであって、自社のみの利益の追求をしない雰囲気だった。
河原所長は、パナソニックの担当者から「パナソニックの技術が活きる分野・モノに使ってほしい」という意味合いで話をいただき、また、技術の担当の方にも「技術を活かせるような場面に使っていただきたい」という話もいただいた。パナソニックの技術と自社の技術を掛け合わせれば、新たな技術が開発できる。と河原所長は、確信したのだ。
イナバゴムとパナソニックをマッチングうまくできるようサポートしたのが、鳥取県産業振興機構の山本センター長だった。山本さんは、「中小企業と大企業との知財に関する経験や知識には開きがある。そこをどうやって埋めるかというところにひとつのハードルがあって難しい面がある。」と話す。そういった知財的な側面、契約に関する側面など、間に入って、中小企業にとっても大企業にとっても良いマッチングになるようにするのが、支援機関としての重要な役割だという。
新たな技術、価値を創造する「共創」。中小企業と大企業のイノベーションは、ますます期待されている。
桑原良弘
- 2級知的財産管理技能士
- もうけの花道アンバサダー
ディスプロ株式会社中国経済産業局特許流通アドバイザーとして、地域経済政策の活性化と開発テーマの事業化、知的財産活用を支援。現在、中堅製造業の顧問や地域支援機関と連動した企業のビジネス開発支援を行っており、多くのビジネス開発・知的財産の戦略構築・活用展開・商品開発の実績を持ち、事例研究も行う。