近年、中小企業経営者の高齢化が進展しており、日本経済を支える中小企業の雇用や技術の喪失を防止する観点から、事業承継を円滑に進めることが重要な課題となっています。
ここでは、平成20年10月1日に施行された「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(中小企業経営承継円滑化法)」に基づく支援制度と、事業承継に係る相談窓口(事業承継・引継ぎ支援センター)について紹介致します
事業承継・引継ぎ支援センターについて
中小企業者等の経営資源及び事業の引継ぎや事業承継を円滑に進めるため、各都道府県に設置された事業承継・引継ぎ支援センターが課題解決に向けて、助言、情報提供、マッチング支援等を行います。
令和3年4月にこれまで第三者承継支援を行っていた「事業引継ぎ支援センター」に、事業承継診断・事業承継計画策定の取組や親族内承継支援等を行っていた「事業承継ネットワーク」の機能を統合し、事業承継・引継ぎのワンストップ支援を行う組織として発展的に改組しました。
事業承継やM&A等による事業引継ぎを行うためには、早めの相談が大切です。まずは、各県の事業承継・引継ぎ支援センターまで、お気軽にご相談ください。
【中国地域の事業承継・引継ぎ支援センター】
岡山県事業承継・引継ぎ支援センター(実施機関:公益財団法人 岡山県産業振興財団)
所在地:岡山市北区芳賀5301 テクノサポート岡山
電話:086-286-9708
【関連リンク】
経営承継円滑化法による支援について
後継者に経営を承継する場合などに、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(中小企業経営承継円滑化法)」に基づき、事業承継の円滑化に向けた以下の支援を受けることができます。
①事業承継税制
②金融支援
③遺留分に関する民法の特例
④所在不明株主に関する会社法の特例
①②④については、都道府県知事の認定を受けることが必要で、③に関しては、経済産業大臣の確認及び家庭裁判所の許可が必要です。詳細については、各項目の説明をご覧ください。
事業承継税制について
後継者が非上場会社の株式等(法人の場合)・事業用資産(個人事業者の場合)を先代経営者等から贈与・相続により取得した場合において、経営承継円滑化法における都道府県知事認定を受けたときは、贈与税・相続税の納税が猶予又は免除されます。
【法人版事業承継税制の特例措置】
中小企業・小規模事業者の事業承継を推進するため、2018年4月1日に、法人版事業承継税制の特例措置が創設されました。
2018年4月1日から2023年3月31日まで(令和4年度税制改正で2024年3月31日までに1年延長)に経営承継円滑化法に基づく「特例承継計画」を都道府県知事に提出したうえで、2018年1月1日から2027年12月31日までの10年間に行われた非上場株式の贈与・相続が対象となります。
【個人版事業承継税制の特例措置】
個人事業者の事業承継を推進するため、2019年4月1日に、個人版事業承継税制の特例措置が創設されました。
法人版事業承継税制と類似の制度設計となっており、2019年4月1日から2024年3月31日までの5年以内に経営承継円滑化法に基づく「個人事業承継計画」を都道府県知事に提出したうえで、2019年1月1日から2028年12月31日までの10年間に行われた一定の事業用資産の贈与・相続が対象となります。
金融支援について
事業承継に伴う多額の資金ニーズ(自社株式や事業用資産の買取資金、相続税の納税資金等)や信用力の低下による取引・資金調達等への支障が生じている場合に、都道府県知事の認定を受けることを前提として、信用保険の別枠化による信用保証枠の実質的な拡大、株式会社日本政策金融公庫等による代表者個人に対する融資制度を利用することができます。
遺留分に関する民法の特例
一定の要件を満たす後継者(親族外も対象)が、遺留分権利者全員との合意及び所要の手続(経済産業大臣の確認、家庭裁判所の許可)を経ることにより、生前贈与株式を遺留分の対象から除外する、生前贈与株式の評価額を予め固定するといった、民法の特例を受けることができます。
※遺留分とは、配偶者や子など(遺留分権利者)に民法上保障される最低限の資産承継の権利です。
後継者への生前贈与により、相続時に他の遺留分権利者が実際に得られた相続財産が「遺留分」に足りない場合に、後継者が、他の遺留分権利者から「遺留分」を取り戻すための請求(遺留分減殺請求)を受けるおそれがあります。
【遺留分に関する民法の特例に関するお問合せ先・申請先】
経済産業省 中小企業庁 事業環境部 財務課 電話:03-3501-5803
所在不明株主に関する会社法の特例
一般的に、株主名簿に記載はあるものの連絡が取れなくなり、所在が不明になってしまっている株主を「所在不明株主」といいます。
会社法上、株式会社は、所在不明株主に対して行う通知等が5年以上継続して到達せず、当該所在不明株主が継続して5年間剰余金の配当を受領しない場合、その保有株式の競売又は売却(自社による買取りを含みます。)の手続が可能です。他方で、「5年」という期間の長さが、事業承継の際の手続利用のハードルになっているという面もありました。
この点を踏まえ、非上場の中小企業者のうち、事業承継ニーズの高い株式会社に限り、都道府県知事の認定を受けることと一定の手続保障を前提に、この「5年」を「1年」に短縮する特例(会社法特例)が創設されています。
【事業承継税制、金融支援、所在不明株主に関する会社法の特例に関するお問合せ先・申請先】
- 鳥取県 商工労働部 企業支援課 電話:0857-26-7453
- 島根県 商工労働部 中小企業課 電話:0852-22-5288
- 岡山県 産業労働部 経営支援課 電話:086-226-7353
- 広島県 商工労働局 イノベーション推進チーム 電話:082-513-3355
- 山口県 商工労働部 経営金融課 電話:083-93le3-3180