令和6年9月3日
中国経済産業局 産業部
取引適正化推進室
中国経済産業局 産業部
取引適正化推進室
今年の春季労使交渉では、中小企業で4.45%と33年ぶりの高い水準の賃上げが実現するなど、潮目の変化を迎えています。そしてこの9月は、2024年度下期の価格改定時期を迎える企業も多く、賃上げ原資の確保に向けた、価格交渉・価格転嫁にとって極めて重要な時期です。
発注企業・受注企業の皆さん、賃上げ実現が重要な今こそ、サプライチェーン全体で、積極的に価格交渉・価格転嫁を行いましょう。
1.価格交渉促進月間の概要
エネルギー価格や原材料費、労務費などが上昇する中、中小企業が適切に価格転嫁をしやすい環境を作るため、2021年9月より、毎年9月と3月を「価格交渉促進月間」と設定。この「月間」おいて、価格交渉・価格転嫁を促進するため、広報や講習会、業界団体を通じた価格転嫁の要請等を実施しています。また、各「月間」終了後には、多数の中小企業に対して、主な取引先との価格交渉・価格転嫁の状況についてのフォローアップ調査を実施し、価格転嫁率や業界ごとの結果、順位付け等の結果をとりまとめるとともに、状況の芳しくない親事業者に対しては下請中小企業振興法に基づき、大臣名での指導・助言を実施しています。
齋藤大臣からのメッセージ動画はこちらへ(Youtube)
2.発注企業・受注企業の皆様へのお願い
(1)発注企業の皆様
・下請中小企業振興法に基づく「振興基準」に則り、受注側中小企業からの価格交渉の申出には遅滞なく応じ、または皆様の方から価格交渉の申入れを行っていただく等、価格交渉・価格転嫁を積極的に行い、サプライチェーン全体の競争力向上や、共存共栄の関係の構築に向けてのご対応をお願いします。
・「労務費に関する指針(詳細は3.(2)を参照のこと)」に基づいて、受注側中小企業との価格交渉に応じるとともに、当該受注側中小企業に対して、さらにその受注企業に対しても、価格交渉・価格転嫁を行うよう促してください。
・サプライチェーン全体の価値の向上、共存共栄を目指すことを目的として、政府が推進する「パートナーシップ構築宣言」に未参加の企業におかれては、参加についてご検討ください。既に宣言されている企業におかれては、自社のパートナーシップ構築宣言について、調達担当の方々へ、一層の浸透をお願いします。
(2)受注企業の皆様
・発注企業に対し、積極的に価格交渉を申し出るとともに、中小企業庁等が作成するコンテンツや、「下請かけこみ寺」、よろず支援拠点「価格転嫁サポート窓口」といった相談窓口を、ぜひご活用ください(詳細は3.(3)を参照のこと)。
・価格交渉の材料として「労務費に関する指針」を活用してください。
3.価格交渉・価格転嫁の促進に向けた政府の取組
(1)「価格交渉促進月間」フォローアップ調査の実施
・「価格交渉促進月間」終了後に、中小企業の皆様を対象に、価格交渉・転嫁の状況に関するアンケート調査を実施しています。
・上記調査に係る結果をもとに、発注企業ごとの価格交渉・価格転嫁の取組状況を記載したリストを公表しています。
・併せて、取組状況が芳しくない企業トップに対する、下請中小企業振興法に基づく、所管大臣名による指導・助言を実施しています。
(2)「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の策定、周知・徹底
・労務費を含む価格転嫁を強力に促すため、昨年11月、内閣官房・公正取引委員会において、発注企業・受注企業それぞれがとるべき行動指針を定めた、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を公表しました。
(3)受注企業の価格交渉を後押しするコンテンツの作成・相談窓口の設置
・価格交渉のポイントをまとめたコンテンツや、コスト上昇状況等のエビデンスとなるデータベースといった、受注企業にとって、価格交渉の材料となる資料を整理するとともに、価格交渉に応じてもらえない等の、取引上のお悩みを相談できる「下請かけこみ寺」や、よろず支援拠点「価格転嫁サポート窓口」を整備しています。