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〔鳥取県〕

鳥取県が誇る酒造好適米 “強力”

全国の“ご当地酒米で醸す地酒”が人気です!

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松井 眞一(地域経済課長)
E-mail:matsui-shinichi@meti.go.jp

本年2月、当局のメールマガジン「METI CHUGOKU TIMES第807号(2017年2月22日発行)のチャレンジ応援団メールで “季節感を感じる春の新酒” のお話をさせていただきましたが、今回は、お酒を造る原料「酒米(酒造好適米)」についてご紹介させていただきます。

はじめに

日本酒は、お米と水を主原料に、秋に収穫したお米を気温が下がる晩秋から冬にかけて仕込む「寒造り(かんづくり)」により造られ、年明けから早春の時季に新酒として出荷されます。(最近は、酒蔵全体を温度管理し「通年醸造」を行う蔵も増えています。)

酒造りに使うお米は、食用米とは異なる品種のお米(酒米/酒造好適米)を使って造る酒蔵が一般的で、全国的にも有名な酒米として「山田錦」や「五百万石(ごひゃくまんごく)」はこの代表格です。

酒蔵の軒先に吊され新酒ができあがったことを知らせる「杉玉(すぎたま)」

日本の酒米は・・・

国内で消費される酒米の需要量は約10万㌧、その内、山田錦が約3万5千トン、五百万石が約2万トンとこの2品種で全体の半分以上を占めています(2017年農林水産省が全国の酒造会社に調査)が、近年、この2種の酒米以外の地域特有品種「ご当地酒米」の需要量が増えてきています。

山田錦はたいへん優れた酒米で「日本酒の鑑評会」などで上位の評価を得る日本酒の多くは、この山田錦を原料に造られるものが多いのですが、一方で「地域に根ざした個性あるお酒を味わいたい!」という日本酒ファンの声を受けて、近年、全国各地に根ざしたご当地酒米を使って「地産地消にこだわる酒造り」をする酒蔵も増えています。

中国地域の各県のご当地酒米は、岡山県の「(赤磐)雄町」、広島県は「八反錦」、山口県は「西都の雫」、島根県は「佐香錦」、そして私の故郷の鳥取県は「強力」が代表格です。

近年、全国各地でご当地酒米の復活あるいは新たな酒米の品種開発等を通じて、地域の風土を反映した味・香りにこだわり、個性豊かな酒米で日本酒を造る取り組みが活発化してきており、各地の農業技術センターや自治体等も地域ブランドとして「ご当地酒米で醸した地酒」の需要拡大や地域活性化を応援する動きも盛んになってきています。

ご当地酒米による「こだわりの地酒」が人気です!

鳥取県が誇る酒造好適米 “強力” ~山田錦や雄町のご先祖かも~

さて、前置きが長くなりましたが本号では、数多いご当地酒米の中で「鳥取県が誇る酒造好適米 “強力” 」についてご紹介させていただきます。

強力は、大正のはじめ東伯郡下中山村(現:西伯郡大山町)の在来品種を原種に「鳥取県農業試験所」による系統分離試験(品種改良)の結果、大正10年(1921年)に「強力1号と2号」として鳥取県の推奨品種に採用されました。その後、昭和20年代以降、栽培が一時途絶えていましたが、鳥取大学や地元関係者の方々の「強力の復活」を願う熱い思いから、平成になって栽培が本格化し、平成2年(1990年)「純米大吟醸 “強力” 」として地元の酒蔵より出荷が開始されました。

底力のあるどっしりした旨味が特色の「強力」

そして、この「強力」ですが、そのルーツを辿ると、岡山県のご当地米の「雄町」と繋がっているとする説があります。雄町は、江戸時代(安政6年)1859年頃、備前国上道郡高島村雄町(現:岡山市中区雄町)の岸本甚造が伯耆の国(鳥取県)大山への参拝の帰りに当地(大山山麓)の在来品種の稲穂を持ち帰り育成したのが始まりで、その後「雄町に良い酒米がある」とのうわさが広まり、地名からその酒米が「雄町(米)」と呼ばれるようになったと言われています。また、酒米として全国一の生産量を誇る「山田錦」は、この「雄町」を親種として交配し生まれた酒米です。

鳥取県西部(大山山麓)にルーツを持つ「強力」と「雄町」、そして雄町の系統を引き継ぐ「山田錦」、この3つの酒米の共通点は、稲の背丈が高く、米粒が大粒、米の中心(心白)が線状(線状心白)であることです。中でも「酒米で“線状心白”を持つのは、強力、雄町、山田錦の3種のみ」なのです。

「伯耆富士こと大山」というキーワードで結ばれたこの3種の酒米は「とっても近しい親戚関係」と言われています。

酒造好適米 “強力” を使ったお酒

現在、「強力」は、鳥取県内でのみ栽培される酒米として、同県の9つの酒蔵から「強力ラベルの地酒」として販売されています。この「日本酒 ”強力” 」は、既にご存じの方も多いかと思いますが、春の新酒もフレッシュで美味しいですが、少し熟成が進んだ頃に “底力のあるどっしりした旨味” を味わう楽しみ方もお薦めです。

また、鳥取県唯一の「クラフトビールメーカー」では、この「強力」を副原料とし、「清酒酵母」で麦汁を発酵させた 地ビール「強吟(GOUGIN)~吟醸酒を感じさせる芳醇な香りと長期熟成によるなめらかさと上品な甘さを兼ね備えた最高級ビール~」 の製造に成功しました。ビール造りにおいて、従来製法である「ビール酵母」を用いず、「清酒酵母」のみを用いたこの製造技術は、鳥取県産業技術センターと共同研究により開発、この研究成果は「第6回ものづくり日本大賞 中国経済産業局長賞」を受賞しました。

強力で造った地ビール「強吟」(久米桜麦酒(株))

おわりに

日本酒は、四季ごとにその季節感を味わうものとして、多くのファンを楽しませてくれています。味わう季節に加え、全国各地に根ざしたご当地酒米で醸した個性を感じながらいただく地域限定の地酒も格別です。

是非、この機会に「強力(酒米)」を記憶に止めていただき、旅行等で鳥取県を訪問された際や馴染みの酒屋さん等でお酒を選ばれる際に、ショーケースの中の「強力ラベルの地酒」に手を伸ばしていただけると幸甚です。

ものづくり日本大賞とは

今年は「第7回ものづくり日本大賞」の選考が行われる年(隔年実施)です。

この制度は、我が国の産業・文化の発展を支え、豊かな国民生活の形成に大きく貢献してきた「ものづくり」を着実に継承し、さらに発展させていくため「ものづくり」に携わっている人材のうち、特に優秀と認められる人材を表彰するもので、平成17年に創設されました。10月頃に「内閣総理大臣賞、経済産業大臣賞、中国経済産業局長賞等」の各賞が発表される予定です。どうぞご期待ください。

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経済産業省 中国経済産業局 電子広報誌

ちゅうごく地域ナビ 2017年5月19日掲載

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