シリーズ│地球を笑顔に!(第54回)

「天然由来の甘味料を使用した機能性食品」

真庭バイオマスラボ商品化第1号販売開始


(一社)中国地域ニュービジネス協議会
チーフコーディネーター
竹内善幸

岡山県真庭市バイオマスリファイナリー事業推進協議会(以下、「協議会」という。)は、バイオマスリファイナリー事業の創出のために、民間発意により、研究機関、大学、企業、NPO、県や関係団体から構成される産学官連携の組織で、平成22年6月に設立しました。

この度、協議会の会員企業であるFONTEC R&D(株)では、真庭バイオマスラボ商品化第1号として、高品質な天然由来の甘味料「羅漢果ピュア」を使用した2種類の機能性食品(低糖質のチョコレートとカラメルシロップ)を完成させ、平成30年3月に販売を開始しました。また、チョコレートの商品化では、チョコレート製造メーカーのヒルゼンミルキー(株)と共同開発しました。今回は、この新しい事業化の取組をご紹介します。

FONTEC R&D(株)について

FONTEC R&D(株)は、真庭市内に拠点を置き、科学的根拠に基づいた機能性成分の研究を行い、この地域より広く世界に情報を発信するとともに、利用価値のある有効な機能性素材、機能性食品を提供し、健康な生活に寄与することを目指して、平成26年4月に設立し、科学的根拠に基づいた機能性素材の開発、食品素材・機能性素材などのアプリケーション開発、食品素材・機能性素材を有効に利用した製品開発・販売などの事業を展開されています。そのため、各研究機関、大学等と共同研究を行い、新規技術の開発、機能性効果の研究、アプリケーション研究にも力を入れておられます。


アプリケーション開発では、新規機能素材・食品原料・医薬品・医薬部外品などへの有効な利用方法を開発し、ニーズのある製品の開発を目指されており、その一つとして砂糖に置き換わる低糖質甘味料の開発とその商品開発・販売に取り組まれています。

日本の糖尿病患者とその予備群の合計は2,000万人以上(6人に1人の割合)とも言われており、糖質を制限する事が見直されています。ダイエットの観点からもカロリー制限より糖質制限の方が長く続けられて効果的な事も知られており、 近年、低糖質商品の需要が高まっています。

一方、コストを重視して、従来の人工甘味料などを使用した低糖質商品は、膨らみが悪い、腐りやすくパサパサになるなど、商品の作り手や消費者に対して「おいしくない」商品になっているのが現状のようです。

さらに、近年、低糖質やダイエット目的で「カロリー0」や「糖質、糖類0」といった商品が目立っており、極端な糖質制限による健康被害や人工甘味料の使用による血糖値上昇などの問題が報告されています。


このため、FONTEC R&D(株)では、中国桂林に栽培されている果実で砂糖の400倍の甘さの成分(モグロシド類)を含んでいる「羅漢果」(らかんか(Lo Han Guo)、学名:Siraitia grosvenori)に着目し、甘味品質を向上させた商品開発に取り組まれました。

羅漢果の成分には、気管支炎、へん桃腺炎、咽頭炎などに効能があるため、中国では民間薬として食されてきました。また、抗酸化作用や血糖降下作用などの効果もあり、糖尿病などの予防・治療が期待されています。

従来市場に出回っている羅漢果は、蛋白質などが混入しているため、甘味品質や機能性効果が低減していましたが、同社では、モグロシド類の高濃度化により機能性や甘味品質を向上させた「ラカンカピュアパウダー」を開発しました(図1.参照)。

図1.ラカンカピュアパウダー
[出展:FONTEC R&D(株)のウェブサイトより]

また、ラカンカピュアパウダーの新規機能性素材を有効に利用した商品「羅漢果ピュア」シリーズ(甘さは砂糖の400倍で糖質は75%程度抑えた商品、図2.参照)を開発しました。また、真庭地域限定として「羅漢果ピュア Pro」(図2.参照)を販売しています。さらに、ケーキなど低糖質商品など幅広く使えるプロ仕様の「業務用低糖質甘味料」、カラメルやジャムに適した「羅漢果ピュアMild」、チョコレート菓子に適した「羅漢果ピュアDark」を開発・販売しています。

図2.「羅漢果ピュア」シリーズ(左)、「羅漢果ピュアPro」(右)
[出展:FONTEC R&D(株)のウェブサイトより]
低糖質のチョコレートの商品化

FONTEC R&D(株)では、真庭バイオマスラボで開発した商品化第1号として、低糖質甘味料「羅漢果ピュア」を使った2種類の低糖質のチョコレートを商品化しました(図3.参照)。

図3.低糖質のチョコレート

また、商品開発に際しては、FONTEC R&D(株)が、地元に密着した商品展開を狙って、平成29年にチョコレート製造のヒルゼンミルキー(株)とコラボレーションして開発しました。

商品化された低糖質のチョコレートは、一口サイズの「羅漢果ピュアショコラ73」(1袋45グラム)と板チョコレート「ミルリアン低糖質タブレット73」(1箱60グラム)の2種類で、いずれも風味の強いカカオマスやココアパウダーを加え、羅漢果の苦味や雑味を抑えて従来のチョコレートに近い味わいに仕上げています。板チョコレートには、蒜山地域のジャージー牛の生クリームやバターを配合し、地域の特色を打ち出しました。

販売は、真庭市内の道の駅や物産店などで、一口サイズの「羅漢果ピュアショコラ73」は1袋450円(税別)、板チョコレート「ミルリアン低糖質タブレット73」は1箱720円(税別)で発売しており、今後、百貨店やカタログ販売などを通じて全国展開を目指しています。

真庭バイオマスラボについて

真庭バイオマスラボ(図4.参照)は、協議会の共同研究、バイオマス関連の人材育成、バイオマス産業創出の拠点として、岡山県との共同設置により平成22年4月に開所されました。

本ラボでは、地元関係企業、研究機関、大学、NPO、国、岡山県と真庭市が産学官連携により、“活き活きとした誇れる真庭”を目指して真庭からのバイオマス産業創出を推進しています。

平成26年5月から真庭バイオマスラボに入居しているFONTEC R&D(株)は、真庭発のバイオマスリファイナリー技術をベースにし新規機能性素材の産業を創出すべく設立されました。

図4.真庭バイオマスラボの様子
むすび

平成30年3月20日に真庭市役所において、低糖質甘味料「羅漢果ピュア」を使った2種類の低糖質のチョコレー商品の完成報告会があり、FONTEC R&D(株)の市隆人社長とヒルゼンミルキー(株)の佐藤徹社長が太田昇市長に商品を紹介しました。両社長が「糖尿病患者など糖質制限の必要な人向けの商品として売り込みたい」と抱負を述べると、太田市長は「地元企業の連携で付加価値の高い商品づくりが進むのを期待する」と話されました。

今回の取組が、真庭市が目指しているバイオマス産業創出へのさらなるステップにつながることが期待されます。

【補足:機能性表示食品制度について】

機能性を表示することができる食品は、これまで国が個別に許可した特定保健用食品(トクホ)と国の規格基準に適合した栄養機能食品に限られていましたが、機能性を分かりやすく表示した商品の選択肢を増やし、消費者がそうした商品の正しい情報を得て選択できるよう、平成27年4月に新しく「機能性表示食品」制度がはじまりました(図5.参照)。FONTEC R&D(株)では、機能性表示食品を提供しています。

図5.機能が表示されている食品の概要
[出展:消費者庁パンフレット「「機能性表示食品」て何?」から抜粋]

著者プロフィール

昭和48年 三菱重工(株)入社 広島研究所所属
平成15年 菱明技研(株) 移籍
同年4月より(社)中国地域ニュービジネス協議会
(現在は(一社)中国地域ニュービジネス協議会)
チーフコーディネーターとして活動中
平成27年4月より岡山県産業労働部産業振興課所属
グリーンバイオプロジェクト・コーディネータとして活動中
  • スマート・ケミカルリファイナリー協議会主催
  • 趣味 観世流能楽(広島市能楽愛好者連盟理事)
プロフィール写真

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経済産業省 中国経済産業局 電子広報誌

ちゅうごく地域ナビ 2018年5月29日掲載

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