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瀬戸内の新たな魅力をグッドデザイン賞審査で知る

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株式会社クリエイティブ・ワイズ 代表取締役 三宅曜子

広島市では、広島広域都市圏(山口県の岩国市や柳井市なども含む25市町)で、企業のデザイン開発力向上や市民のデザインに対する関心を深めることなどを目的として「ひろしまグッドデザイン賞」の認定を毎年行っている。

内容はプロダクトデザイン部門とパッケージデザイン部門の2テーマで、今年は特に応募件数が多く、プロダクトデザイン部門が70点、パッケージデザイン部門が62点もあった。これまでなら全出品企業にお越しいただき、プレゼンテーションをしてもらいながら審査を行うのだが、今年は新型コロナ蔓延の影響で、作品の提案書や写真で審査を行い、それだけではわからないものだけを説明していただくようになった。

私も長く5名の審査委員の一人として審査を行ってきたが、審査の内容が非常に細かく、一件ずつコメントやアドバイスも記載するようになっており、先にすべての資料が送られてきて、それにコメントや不明点を記載しておき、審査当日にはそれも含めて審査を行うようになっている。

このところ、審査会場には運べないぐらい大型のものや、医療機器など、特殊なものが応募されてくるようになり、今年も腹腔鏡手術用鉗子など特殊なものや、新型アストラムラインの車両、広島の新たなコンセプトで作られたバス、またJR東日本が瀬戸内海の多島美の景観を周遊する新しい観光型高速船など、実際に審査委員が現地に行って審査するものが出てくるようになった。

ひろしまグッドデザイン賞HP

新しいアストラムラインの車両の特長

先日は新型アストラムラインの車両を見に、広島市交通科学館に行き、最新の車両内部など説明を受けながら確認をした。私はアストラムラインに乗ることが初めてだったので、首都圏や関西の電車と比べての様々な違いに驚いた。

開業から25年経ち、7000系車両になり、新型のアストラムラインはこれまでのものより、中がひと回り大きく見えたが、それは様々な工夫がされているためだということがわかった。

例えば、ドアがこれまで中側に開いていたのが外側に開くようになったこと、やや丸みを帯びたデザインや、先頭と最後尾車両の壁面に16ドットのくりぬき窓を設置し、日中は自然光を、夜間はLEDライトで内外から明るく照らされるようになっていたり、客室シートの1席あたりの座席幅をこれまでより30mm広くして座りやすくしただけでなく、体にフィットする形にしてひざが開きにくく、着座面の先端をわずかに上に傾けることで通路へ足の投げ出しを抑制するなど、細部にわたり変更がなされていた。

また、バリアフリー機能も配慮され、ベビーカーや車いす用フリースペースの確保だけでなく、ベビーカーや車いすの補助者の方用に、折り畳みの椅子をベビーカーや車いすと直角に設置することで、赤ちゃんなどが安心できるようにする工夫などもされていた。高さを替えた吊り手や防犯カメラの設置など、これまでの25年間の運行実績を活かしたものになっていた。

電気で走行しているため、雨や雪などの悪天候でもこれまで一度も運休したことがないことも驚いた。

瀬戸内海を手軽に観光できる、JR西日本がつくる高速クルーザーの特長

また、別の日には宇品(広島市)のフェリー乗り場に行き、JR西日本が鉄道と組み合わせて瀬戸内エリアを周遊する観光高速艇「SEA SPICA」を見に行った。この航路の名称は「瀬戸内しまたびライン」という多島の魅力を気軽に堪能できる双胴船の高速艇で、広島港(宇品)と三原港を結ぶ、とびしま街道・しまなみ海道エリア(芸予諸島エリア)を1日1往復運航する。

航路は広島港~グランドプリンスホテル広島~呉~音戸の瀬戸、安芸灘大橋を通り、下蒲刈島に30分停泊、契島クルーズをしながら大久野島に行き、そこで30分停泊~瀬戸田で25分停泊後、三原に行き10分後に逆コースでそれぞれ停泊しながら近場観光をして宇品港に戻るコースだ。

「うさぎの島」といわれる大久野島や国産レモン発祥の地である瀬戸田(生口島)、ユネスコの『世界の記憶』に認定された下蒲刈島、江戸時代の面影が残る大崎下島にある御手洗の町並みなどを小旅行気分で味わえる小型の双胴船だ。

イメージはラグジュアリーで、シートもターゲットに合わせて数種類あり、バリアフリースペースもつくられている。

2階デッキ部分が素敵で、最後部にはリラックスできるよう、背もたれが傾斜になっている椅子があり、海と空を眺めながらゆっくり船旅ができるようになっており、中央部分には円形を組み合わせたフリーシートで、コロナ禍でなければ、カクテルやドリンクなどを作り、ミニパーティができるコーナーもある。

操舵室にも行ったが、天井が高く、計器類も簡潔にまとめられ、ハンドルも車と同じような形で、これまでの操舵室とはイメージが違っていた。

朝、新幹線などから宇品港に行き、瀬戸内海を小旅行し、夕方また新幹線などで戻れるようなスケジュールで組み立てられ、船内ではお弁当なども出されるようだ。

旅のスケジュール作成や新幹線・レンタカー・ホテルの予約などもできるせとうち観光ナビ「setowa」で検索ができる。

海外旅行に行けない方でも、新しいアストラムラインで広島の郊外を散策や、近場で十分に観光を堪能できる高速クルーザーができたことは、瀬戸内エリアを多くの県外者や観光客に知ってもらえる良い機会だと思う。

瀬戸内が楽しくなってきた。そのためにも新型コロナが早く終息してほしいものだ。

○瀬戸内しまたびラインHP: http://setonaikaikisen.co.jp/simatabi/

○せとうち観光ナビ「setowa」HP:https://www.jr-odekake.net/navi/setowa/

※写真は、一部筆者撮影

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経済産業省 中国経済産業局 電子広報誌

ちゅうごく地域ナビ 2021年9月17日掲載

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