エッセイ│素敵・発見!マーケティング

年頭に考えたい、この時期だからこその、
新たな終活と個人をしのぶためのライフスタイルについて

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株式会社クリエイティブ・ワイズ 代表取締役 三宅曜子

新年になり、家族で迎えたいけれど、新型コロナウィルスが心配で断念する人も多い。このウィルスは海外で変異してきており、国内でもまだ勢いを増してきている。お正月も故郷に帰れない人たちが大勢いるが、こんなことは前年度のお正月には考えもしなかった事だ。

私も前年度のお正月はアメリカのワシントンやニューヨークで過ごしていたが、その頃はアメリカではインフルエンザの方が猛威を振るっていたため、予防注射を2回打って行き、問題はなかった。マスクをしている人も全くいなかった。

昨年、親族が集まった時に母から話が出たことが、自身の終活についてのことだった。親族全員が関東で私の父方のお墓だけが長崎にあり、私のみ広島に住んでいるため母や兄弟達は全くお墓参りができず、何とか私だけ毎年長崎に行くという状況だった。そんな中で新型コロナのこともあり、高齢になった母が“墓じまい”をしたいと言ってきた。自分が主人の墓参りができない年齢になって最近考えるようになってきたようだ。

今ニュースなどでも地方にあるお墓に行けないようになり、“墓じまい”に関することが取り上げられるようになってきた。若い人たちはお墓参りそのものに関心がない層も多くなっており、この時代だからこそ考えなければならないことだと思う。

自分が住んでいる場所に近く、気軽にお参りができ、お墓の掃除などのメンテナンスも気にしなくてよいというのが、コンパクトなお墓や樹木葬など、新しいスタイルのものだ。今回はあえて新年だからこそ考えたい“墓じまい”について書いてみる。

重荷にならない、田舎の『先祖代々のお墓』。

少子高齢化の時代になり、単身者や単独世帯が多くなり、先祖代々のお墓が重荷になっている場合が多くみられる。

もともとお墓は子孫に引き継ぐことが日本での一般的な考え方だ。

しかし、このお墓を継ぐ人がいなくて無縁墓になっていることも多い。私の父方の長崎のお墓も、我が墓地自体が非常に広く、その分手入れが大変で、私も毎回どうしようかと悩んでしまう。周りには無縁墓になってしまっている場合もあり、長崎まで行って終日先祖の墓地の草取りや掃除に追われ、疲れ切って戻るのがつらくなってしまう。

お寺に結構な金額の管理費を払っているものの、特段違いがあるかといえば、目に見えての違いは感じられない。

私の弟や妹も長崎まで行き、お墓まいりすることができないこともあり、私以外の家族皆が住んでいる横浜か東京にお墓を移したいと思っているようだ。

母は高齢のため、今は全く行くことができず、自分がしっかりしているうちに“墓じまい”をしたいようで、昨年の春、新型コロナが出始めた頃に家族や親せきを集めてそのことを話し合う機会を設けた。

そうこうしているうちに新型コロナはますます猛威を振るうようになり、病院にも生きにくく、親せきが入院しても、お見舞いもできなくなってしまった。

これを機に、ますます『先祖代々のお墓』をどうするかを真剣に考えるようになった。

海外のお墓事情

昨年1月にワシントンに行ったときに、バージニア州の『アーリントン墓地』にも行ってきた。

この墓地は国立墓地で、アメリカ合衆国陸軍省が運営している、624エーカーという広大な墓地で、おもに戦没者やテロの犠牲者など、アメリカ合衆国のために尽くした人たちが眠っている。

特定の宗教形式はなく、埋葬者の希望に応じてあらゆる宗教形式が選択できる。なかには故ケネディ大統領やその弟さんなど大統領経験者も眠っており、ワシントンDCの観光地にもなっているが、その墓地のお墓参りをする親族は全く見かけなかった。

なぜなのかを聞くと、お墓参りそのものが日本のように頻繁に行うことはなく、墓地の管理は国がするため、とてもきれいに整備されており、雑草やごみもなく、静かなたたずまいだった。

日本の歌手「秋川雅史氏」の有名な曲「千の風になって」はアメリカ合衆国で話題となった詩「Do not stand at my grave and weep」の日本語訳を歌詞にしたもので、まさに「私のお墓の前で泣かないでください」そのものの風景だった。

ここには日本人のお墓もあるが、日本とは全く違うイメージだ。

日本は仏教が大多数であるが、ここはどんな宗教の人でも国に功績があれば入ることができるとのことだ。

日本の新しい永代供養墓

今とても多くなってきているのが、私と同じように、地方にお墓があるが、なかなかお参りもできない、またそのお墓の手入れなども大変な作業でますます足が遠のいてしまうという人たちが考えている新しいお墓のスタイルだ。

これまで多かったのが『寺院墓地』で、お寺の境内の中にある墓地で、そこにある墓石には代々の親族の名前が彫ってある。この広さが個々のお墓の状態で違うが、とにかく手入れがとても大変なことが大きなマイナスポイントだ。

これを東京の同じ宗派のお寺に移すとなると、1千万円近くかかってしまうといわれた。これではお参りには行ける可能性は高いが、なかなか手がでない。

しかも姉弟の数も少なく、子供もいないとなれば、その後誰が面倒を見ることができるのかが問題だ。

このことは私以外にも多くの人が同じ思いをしているようで、今人気があるのが永代供養墓だ。

形式はいろいろあるが、納骨堂や屋内墓苑、樹木葬などもその中に入る。

樹木葬は最近よく言われているが、墓石の代わりに樹木を墓標として、その場所に骨壺を埋めたり、遺骨を埋めるのが樹木葬だ。

お墓を持たず、自宅に納骨の骨壺などを置き、お参りがすぐにできるような形式もある。

先日石川県のサポートで輪島の輪島塗の企業訪問に行ったとき、非常に素晴らしい輪島塗の骨壺を見ることができた。

木製の筒状の壺に輪島塗が施され、純金で個人の名前などを記してあり、中に粉骨したものを入れてしっかりと蓋がしてあるとても美しいものだった。故人が好きな花なども描かれている。天然木と天然漆なので、樹木葬にも使え、自宅に置くこともできる。

木のぬくもりが感じられる素晴らしいものだった。

このように新しいご先祖の供養の仕方や、高齢者が多くなっている日本でのお参りの仕方を、新年のこの時期に考えてみるのも良いと思う。

※写真は全て筆者撮影

マーケティングコンサルタントとして、中小企業支援及び指導、商業活性化事業、まちづくり事業等、顧客のニーズを的確に捉えた市場開発とアプローチ手法等、幅広い分野におけるマーケティング全般のアドバイスを全国各地で手掛ける。また、平成19年度より地域資源活用事業の政策審議委員、国会での参考人をはじめ、全国で地域資源を活用した事業推進、農商工連携事業、JAPANブランドプロデューサーなど幅広く活躍中。

  • 経済産業省地域中小企業サポーター
  • 同、伝統的産業工芸品産地プロデューサー
  • 中小企業基盤整備機構経営支援アドバイザー
  • 同、地域ブランドアドバイザー
  • 内閣官房 地域活性化伝道師
  • 同、クールジャパン地域プロデューサー
  • 広島県総合計画審議会委員 他

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経済産業省 中国経済産業局 電子広報誌

ちゅうごく地域ナビ 2021年1月8日掲載

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