エッセイ│素敵・発見!マーケティング

今年度の超ハードなJAPANブランド事業

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株式会社クリエイティブ・ワイズ 代表取締役 三宅曜子

「JAPANブランド育成支援事業」は、中小企業庁が2005年にスタートした事業である。

私は初年度からほぼ毎年、各地の商工会議所や商工会、その後4事業社連携で、このJAPANブランド事業のプロデュースを行ってきていたが、今年度は、通常4月下旬に事業計画書を作成し、5月下旬から6月初旬にかけて認証されてスタートする事業であるが、新型コロナの影響で海外に渡航できないこともあり、ほとんどの事業社さんが手を挙げなかった。

そのため、補正予算特別枠として、管理事務局も今までとは代わり、ジェイアール東日本企画となり、6月8日に、クラウドファンディング、電子商取引(EC)、オンライン商談会でJAPANブランドを行うという事業募集を行うこととなった。

しかし、今年度は非常にタイトなスケジュールで、事業終了後の報告書の締め切りもこれまでの2月末までと違い、1月15日までという期間である。

8月にスタートできたとしても、5か月半。この期間で海外向けECができるのだろうかと思いながら、私が一昨年プロデュースをして0年度事業を行い、その成果が期待以上であった事業を、組み立ててみることにした。

UAEへのECビジネス「中東女性用内外美容を現地流通と連携し製販一体型ビジネス展開」のチャレンジャーな事業計画

対象国はUAE.アラブ首長国連邦である。一般的には非常にビジネスが難しい国であるが、我々のテーマである「日本の内外美容をUAEの女性に提案」ということが、一昨年の事業でUAEの女性たちに非常に興味を持っていただき、特に日本の美容関連は中東の女性にとってあこがれであるということがわかったため、EC(電子商取引)までいけると確信して事業計画の作成を行った。

この事業は、石川県のスキンケア研究商品開発メーカー、東京の美容サプリの研究開発メーカー、広島の熊野の化粧筆のメーカーの3社連携で行うため、事業計画書は3社の意見を確認しながら進めていった。

事業スタートができない!

実際にどんなに遅くても8月には認定事業者が決まるはずの事業がいつまでたっても決まらない。

9月に突入!
中旬になってから、この事業計画書の内容をさらに具体的に出すよう、管理事務局から連絡があった。

ええっ!また出さなければならないの?

これまで何年間も行ってきたがこのことは初めてのことだった。認定されても、事業スケジュールはこの時すでに3ヶ月半しかない。しかも我々の相手国はアラブ首長国連邦のため、ECサイトを作るにもアラビア語にしなければならない。

アラビア人は動画や写真は見るが、商品の内容などは文章量が多かったら全く見てもらえないため、難問題が山積している。事業がスタートしない限り、事前には何もできないし、認定されるかどうかも分からない中で、アラビア人のSEやUAEのディストリビューターに依頼することもできない。

困った!

しかし、この時はまだ何とかなると思っていた。すぐに事業計画書を作り直したが、9月18日に採択されたとの連絡があったものの、認定通知書が来ない。

9月下旬になってもまだ具体的には決まっていない状況のようだ。

10月に入ってしまった。

すると管理事務局から、事業中のどの部分を最初にするのか、またそれに対して金額は最初にどの程度必要か、認定の決定がおそくなったため、再度スケジュールを組み立て直すよう問い合わせがあった。この時点でまだ具体的にいつからスタートできるのか決まっていない。

9月に採択されたものの、認定通知書が来ない限りスタートできないきまりである。

結局10月第3週に我々チームのメイン企業から管理事務局に連絡をしてもらったところ、今年度から管理事務局が替わり、これをやるのが初めてなので状況があまり良くわからないようであった。

9月からスタートできるといわれているのに、これではできないということを話して、電話でGOサインをもらい、やっとスタートすることとなった。

しかし、ECに対する具体的な制作などの期間は、たった2か月弱しかない。

この期間でできることを詰めていくことから行った。

まずメンバー全員でスタートアップ会議を東京で10月22.23日で行った。

参加企業はどの企業もZoomなどWeb会議をやったことがない企業ばかりである。

UAEはWeb会議はZoomしかできない。通常連絡に使うWhatsAppも文章のみ。

Skypeも規制されているためできない。AppleのFaceTimeも日本ではよくiphone同士で顔を見ながら話をするが、それもできないのだ。

サウジアラビア人で東京工業大学出身の日本語も堪能な人材2名と、UAEに住む、アラブ人のディストリビューターと共同経営をしている日本人でアラビア語が堪能でSEもやっている方を前回の0年度事業からお願いしていたため、彼らとZoomでやり取りをしながら進めることにした。

そのためにメインの企業にZoomの有料版に登録をしてもらい、全員でやり方から勉強した。

UAEも新型コロナの影響で、ビジネスが滞っていおり、Webビジネスが中心であるため、ECに関しては全く抵抗はなかった。

彼らが参加してくれなければ、我々だけでは全くできなかったが、これで何とかやることができる。

これまでのJAPANブランドは現地に行って日本の良いものや商品を展示会や現地のディストリビューターに直接紹介をし、その後は英語でメールのやり取りをしながら、商社を絡めて進めていくというのが一般的であるが、今回はEC(電子商取引)のため、それができないことで、これまで以上に非常に難しい環境で行うことになる。

アラビア人はもちろんアラビア語が中心だ。英語でやり取りができるのは一部の高学歴の人だけであり、UAEでは英語で伝えられるのはアラビア人の下で働くインド人であるため、ビジネスはどうしてもアラビア語になる。私は数回UAEに行ったときに覚えたアラビア語は挨拶や一般的な単語だけ、しかも書くことは全くダメという状態でサポートをすることになった。

しかし、このサウジアラビア人で日本に13年住んでいる2人がとても優秀で、2か月で何とかWebサイトとECのベース作りまでやってくれるということで安心した。

この日からが、私の超ハードな仕事がスタートした。

日本もやっと新型コロナが落ち着いたところで、コンサルの仕事で日程がずれていたものがやっと10月から始まったところで、2か月遅れのJAPANブランド事業がはじまり、しかもECのための各社の特徴や商品紹介をアラビア語に翻訳してもらう前の原稿から、動画の撮影、商品を使用している場面の動画と静止画。UAEでのニーズ調査のためのWebアンケート作り。これまでは動画のイメージはWebサイトづくり程度であったのが、文字を読まないUAE国民に対し、簡単に、しかもわかりやすく作ることは非常に難しい。

スタートしてからはまだ数日しかたっていないが、参画事業者さんたちも皆さん急に忙しくなったため、私が頑張るしかない!と連日3~4時間睡眠でやっている。

日本はWeb後進国といわれているが、一般の製造業はZoomもあまりなじみがない。若い層はおもにスマホでやることが中心になる。

皆さんZoomを覚えながら毎日奮闘しているが、こうしてできるようになってくるということを、私にとってもとても良い勉強になっている。

1月15日までに報告書まで仕上げなければならないが何とかやりきろうと思っている。

※写真は全て筆者撮影

マーケティングコンサルタントとして、中小企業支援及び指導、商業活性化事業、まちづくり事業等、顧客のニーズを的確に捉えた市場開発とアプローチ手法等、幅広い分野におけるマーケティング全般のアドバイスを全国各地で手掛ける。また、平成19年度より地域資源活用事業の政策審議委員、国会での参考人をはじめ、全国で地域資源を活用した事業推進、農商工連携事業、JAPANブランドプロデューサーなど幅広く活躍中。

  • 経済産業省地域中小企業サポーター
  • 同、伝統的産業工芸品産地プロデューサー
  • 中小企業基盤整備機構経営支援アドバイザー
  • 同、地域ブランドアドバイザー
  • 内閣官房 地域活性化伝道師
  • 同、クールジャパン地域プロデューサー
  • 広島県総合計画審議会委員 他

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経済産業省 中国経済産業局 電子広報誌

ちゅうごく地域ナビ 2020年11月6日掲載

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