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タイの新型コロナ対策は、
住民の「助ける」仏教精神から生まれている!

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株式会社クリエイティブ・ワイズ 代表取締役 三宅曜子

今世界中で新型コロナ対策が広がっており、子供から大人まで自宅待機や、三密を防ぐ対策が積極的に行われている。

海外では罰則を科している国もあるが、私は以前4年間、タイ国政府商務省の要請で中小・小規模事業者の商品開発や海外展開のための支援を毎月行っていたため、日本と同時にタイの状況も気になっており、これまでサポートをしてきた事業者さんたちからも連絡があり、私からも連絡を行っている。このなかで、日本でも取り入れたいことも多くあるので、今回はタイの事情をご紹介する。

タイは日本より感染者が少なく、回復している人も多い!

タイでは現在、新型コロナウイルス感染者の回復率が87%に上っている。タイの保健省のソムサック医療局長は「早い段階で抗ウイルス薬を投与している」と説明している。
 タイでは4月24日現在、2,854人の感染が確認され、2,490人が治癒した。ソムサック局長によると、患者の症状に応じ、7種類の抗ウイルス薬を投与。6種類はタイで調達でき、残る抗インフルエンザ薬「アビガン」も「輸入元の日本と中国の協力で十分な在庫を確保している」という。
 患者は症状によって3グループに分け、無症状の感染者は抗ウイルス薬を用いず、軽症者にはアビガン以外を使用。重症者はアビガンを投与する。タイの保健省は「各地の医師から早期に薬を投与するほど回復が早いという報告が届いている」と手応えを訴える。
 保健省は感染拡大の初期段階から病院や関係機関の専門家と研究を重ね、他国の治療法や国内の経験を基に、早期投与を盛り込んだ独自の指針を策定。「死は待ってくれない」ことから、臨床試験を経ずに実行に移した。

 タイでは3月下旬から4月上旬まで感染者が100人以上増える日が続いたが、21日以降は20人以下にとどまっているが、ソムサック局長は「第2波が訪れる可能性はある」と警戒しながらも、「人との距離を保つなど規律を守れば小規模に抑えられる」との見解を示した。 私がタイ国政府商務省の担当者に話を伺ったのも同じ状況で、とにかく行動規制などの初動対応が早かったことと、その時期から各県での往来を防ぐことも徹底して行われていたことも功を奏していると思われる。また検査体制も早くから行っていたことも、この結果になっているようだ。
タイが敬虔な仏教国であることも大きな要素と思われる。

私がタイの様々な地域でサポートを行っていた時に、国民が仏教の教えを忠実に守っている事や、また日常の行いが仏教に基づいていることを強く感じた。

タイは「微笑みの国」と言われているが、人が困っている場合、助け合いの精神が強く、また人の行いは評価を受けるためのものではなく、自分の幸せのためだという意識も高い。

私が行っていた時も、タイ国政府商務省の私が待機している部屋には、フレッシュなフルーツやそれで作った飲み物などを、相談者の方たち皆さんが持ってきてくれ、ハードなスケジュールを労ってくれた。また子供のうちに僧侶になり、仏教の教えについて身をもって体験するという国であることもプラスの要素になっている。行った先々で皆が僧侶に托鉢をする様子を良く見ていたが、それも当たり前の日常なのだ。

様々な地域で寺院に連れて行ってもらったが、私はタイ独特の日常的な、お坊さんと国民の状況がわからなかったので、お坊さんの前を横切ったり、朝のお勉めが終わって並んで戻られているお坊さんの前を歩いてしまったりして、一緒に行った一般人にそれは良くないことと諭されたことが何回かあった。

また、往復の航空機の中にお坊さんが乗ってこられた場合には、かならず二人掛けの席でも1名のみでビジネス席に座られ、全く飲食をされず、数珠を持たれてずっと祈りをされている姿も毎回見かけた。

このようなお国柄のタイであるが、「困っている人を皆で助ける」精神は、今回の新型コロナウイルス防止にも大きな要素になっている。

バッグメーカーが作るお坊さんのためのマスクや医療従事者、警察官用のフェイスシールド

自分たちに何ができるか考え、現在も外出禁止令が出ている中で、困っている人にサポートできることを考え、実行する中小、小規模事業者が多くいる。自分たちも今回の新型コロナウイルスの影響で、外出もできず、製造や販売ができなくなり、経済面でも日本同様、とても厳しい状況の中でも他に困っている人がいたら、できることで助ける。

私がサポートを行っていたバッグのメーカーの女性オーナーは、製造するバッグのほとんどが海外用であることもあり、現在はほぼ製造を行っていない。その中で、日本同様、マスク不足や医療従事者などで使うフェイスシールド不足のため、お坊さん用には柿渋で法衣と同じ色にしたマスクを多く作り、寺院に寄付している。医療従事者や警察には、バッグの技術を活かしたフェイスシールドを連日製造して、すべて寄付をしている。

 

このように 、製造企業など、モノを作ることができる人が、困っていて不足している必要と思われるものをつくり、それを販売するのではなく、寄付をするという仕組みは、タイ独特の仏教の教えから来ていると思われる。

私は日本も今頑張りどころだと思われるが、タイの状況を見て、自分に今何ができるかを再度考えてみようと思った。

※写真は全て筆者撮影

マーケティングコンサルタントとして、中小企業支援及び指導、商業活性化事業、まちづくり事業等、顧客のニーズを的確に捉えた市場開発とアプローチ手法等、幅広い分野におけるマーケティング全般のアドバイスを全国各地で手掛ける。また、平成19年度より地域資源活用事業の政策審議委員、国会での参考人をはじめ、全国で地域資源を活用した事業推進、農商工連携事業、JAPANブランドプロデューサーなど幅広く活躍中。

  • 経済産業省地域中小企業サポーター
  • 同、伝統的産業工芸品産地プロデューサー
  • 中小企業基盤整備機構経営支援アドバイザー
  • 同、地域ブランドアドバイザー
  • 内閣官房 地域活性化伝道師
  • 同、クールジャパン地域プロデューサー
  • 広島県総合計画審議会委員 他

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経済産業省 中国経済産業局 電子広報誌

ちゅうごく地域ナビ 2020年5月15日掲載

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