エッセイ│素敵・発見!マーケティング

近年のアメリカのアートと
商品スーパーの状況について

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株式会社クリエイティブ・ワイズ 代表取締役 三宅曜子

ここ数年、ヨーロッパや南アジア、UAEなどに行くことが多く、アメリカには行っていなかったが、今年1月後半から2月上旬にかけて、主に東海岸の4都市に行き、アメリカのイメージが大きく変わったことが多々あった。

これまで西海岸、特にロサンゼルスのトーランス(日本のトヨタのアメリカ本拠地で有名)やサンフランシスコ(ファンシーフードショーのプロデュース)、またバレエを教えている妹の情報収集のためにラスベガスのショー見学などが多く、ニューヨークには展示会出展サポートのために行く程度であったが、今回は東海岸のみ「ニューヨーク」、「ボストン」、「フィラデルフィア」、「ワシントン」とエリアを絞っての情報収集の旅であった。

ニューヨークの状況

ニューヨークは、タイムズスクエアの近くにあるホテルであったため、夜のタイムズスクエアに行くことができた。これまで日中は何回か行ったが、夜のタイムズスクエアがとても安全になっていることに驚いた。

インフルエンザが流行っている時期であったため、アメリカはマスクをする人は重病人か危険人物ということもあり、私はマスクはしなかったが、中国人はコロナウィルス感染が気になるのかマスク姿がいて、アメリカ人はその姿を遠巻きに見る状況であった。また、ここは観光客が多いエリアであったが、東洋人は以前より少ないようであった。

翌日は、朝久しぶりにセントラルパークに行き散歩をしたが、冬で寒いせいか、ジョギング姿の人は少なく、近くに住む住人の犬の散歩係の人が何匹もの犬の散歩をしているのが目立った。今は犬を預けている人が散歩させている様子を動画で送らせたり、GPSで確認するなど、きちんと散歩をさせているかをチェックする場合も多いとか。時代が変わったことがうかがえる状況であった。

目の前にアメリカで最も入居が難しく、ビートルズのジョン・レノンの奥様であったオノ・ヨーコの住まいもあるようだが、有名な俳優たちでさえ入れないアパートの様子も見ることができた。

その後、メトロポリタン美術館に行った。

10年以上前に行ったが、それ以降久しぶりであったため、だいぶ様子が変わっていた。 もっとも驚いたのが、エジプトを中心としたオリエント時代のもの、特にミイラや石棺、その装飾品が多いことは知っていたが、これまでなかったエジプトの神殿の一部をそのまま移設して、それを自然光で見せる広大なスペースがあり、そこでコンサートやワークショップなどが行われていることだった。日本ではロープが張られ、近くで見ることができないが、もちろん中に入ることもでき、触ることもできる。これは日本ではまずできないことだ。

「また、日本でも絶大な人気のレンブラントと並ぶオランダ黄金時代を代表する画家で、黄金時代を築いた光と影の見事な表現者フェルメールも8点あり、筆のタッチまでわかるぐらいの近さで見ることができた。

以前行ったときは、まだ日本では般にはあまり知られてはなかったが、改めて見るとその表現力と感性の豊かさを改めて感じた。

アメリカのオーガニック系スーパーがニューヨークにもあった!

以前から私が大好きだった西海岸を中心に展開しているオーガニック系スーパー「トレーダー・ジョーズ」がニューヨークにもある。ここは以前からオーガニックの食品を中心に扱っており、オリジナルのものも多く、LAに行くときには毎回必ず大人買いをしていた。香辛料のレベルの高さと種類の多さ、またミックスナッツ類やドライフルーツ類もオリジナルでブレンドしていて種類が多い。

特に私は「レモンペッパー」がお薦め。香辛料はほとんどのものがグラインダーで引いて使うよう、最初からその容器に入っている。今でこそ、日本でもオーガニックでレモンを生産するところが出てきたが、ここのオリジナルレモンペッパーは、以前からオーガニックのドライレモンピールとブラックペッパーをブレンドしていて、何にでもよく合う。ナッツ類も自社農園で栽培したナッツとベリーなどのドライフルーツをミックスしていて、個包装になっている。アボカドペーストもパンや焼いた肉などに載せるととてもおいしいので、やはりいつも保冷バッグに入れて持ち帰る。その保冷バッグがここのものはとても丈夫でしかもお手頃価格。トートバッグより大きいので、たくさん入ることもうれしい。

日本ではやっとスーパーのプラスチック製袋が有料になるが、アメリカのオーガニックスーパーはオープン当初から紙製の袋だった。それと同時に、ハリウッドセレブも良く使っている、アメリカの地域やその年オリジナルの絵柄が素敵なエコバッグは数種類あり、6ガロン(約23㍑)も入る丈夫なエコバッグが、なんと99セント(100円強)、3層構造の布製で保冷のしっかりしたトートバッグも5.99ドル(約600円強)。私は丈夫で重たいものでも入るため、これらのバッグは長く使っているが、全く劣化しない。

日本で販売しているエコバッグは大瓶の水ものなどを入れて歩くと片寄ってしまうがそれも全くない。ニューヨークは車より公共交通機関で移動する人が多いが、これらのエコバッグはよく持たれている。

アメリカのオーガニックスーパーは年々数が多くなってきているが、どこもエコ感覚で袋は紙。住人は皆エコバッグを持ち歩いているが、日本も早くそうなってほしいと思う。

ボストン、フィラデルフィア、ボルチモアが面白い!

その後ボストンに行き、ボストン美術館に行った。この美術館は、1870年に地元の有志によって設立され、アメリカ独立百周年1876年に開館した。ヨーロッパの有名な美術館とは違いゼロからスタートし、民間組織で運営されてきたことが面白い展示方法にもつながる。メトロポリタン美術館同様、エジプト美術やフランスの印象は絵画などが特に充実。2010年に北中南米の芸術を展示するアメリカウィングが増築され、広くなった。私が興味を持ったのが、仏画や浮世絵、刀剣類などが多数あり、日本との関係が深いことだ。昔、岡倉天心がこの美術館に在職していたこともあり、日本庭園もある。

また、展示方法も特徴があり、一人の画家が同じモチーフを時間を変えて描いた絵画を並べて展示し、その時間経過などを比べながら見ることができることだ。その色合い、影の付け方、光による色合いの違いなどが明確に分かるのが他にはない楽しみ方だ。

1970年代に、もと食肉マーケットだったのを、アメリカで最も再開発に成功し、ショッピングエリアに変えたクィンシー・マーケットにも行った。ここは日本でいう「屋台村」的に、ロブスターやエビなどの海産物を使ってヘルシーな料理を簡単に食べさせる場所がメインであるが、元の食肉市場の建物を上手に生かし、新しいコンセプトに展開した最も古いマーケットとして注目されている。

フィラデルフィアはアメリカ最古の街で、アメリカ国旗を作った人も住んでいた場所。独立宣言をした街としても知られているが、海外からの観光客はあまりいないけれど、オペラ、博物館、美術館も多く、アメリカ人が一度は行きたい街だ。

ここで私がとてもユニークだと思う美術館が「バーンズ・コレクション」だ。ここにはルノワール181点、セザンヌ69点、マティス60点、ピカソ46点、ルソー18点、モディリアーニ16点、ドガ11点、ゴッホやスーラ、マネなどが含まれる。マチスがここの壁面に直接大作品を描いた個人の美術館だ。バーンズ氏は美術収集家で、当初は非常に厳しく管理されており、一般非公開の作品が多かったが、現在は財団となり、一般的な美術工芸品と一緒に彼が収集した金属細工(蝶番や調理用品など)もレイアウトされ、なぜかそれらが絵画とうまくマッチしているのがユニークだ。

そしてボルチモア美術館へ。

ここはワシントンの郊外にある、あまりしられていない美術館であるが、マチスのコレクション世界一の美術館。ボルチモア出身のコーン姉妹がマチスを援助し、多くの彼の作品を購入し、約500点のマチスコレクションがある。ほかにもゴッホなどを合わせて3000点以上の作品が並んでいる。ロダンの「考える人」の彫刻はここにある。興味深いのが、マチスがコーン姉妹に購入してもらうために1点のモチーフイメージを何点も彼女たちに送り、気に入ってもらったものを最後に描き上げたものがあること。日本には最終の作品だけが来るが、その前の習作は非常に面白い。ほかにもドガの彫刻(バレリーナ)などはスカートや頭の部分が布になっている事やそれと同じ絵画もあり、見比べられることなど。美術をこのように、コレクターの好みや意向が作家に伝えられて作品にするということは、商業デザインにもつながることなので、現代のデザイナー達は、これら個人の美術館などに積極的に行くべきだと思う。

パリの美術館でも見られる光景であるが、日本では見かけない、画家の卵達が有名な作品の前で模写をしている様子がアメリカの美術館でも多く見られた。模写は何日も非常に時間をかけて行うため、私が学生の頃、海外の美術館でそれができることがとても羨ましかったが、そのことも今回思い出した。あまり知られていないアートなどを堪能し、また新たに仕事においてもテーマやコンセプトがしっかり勉強できたことは、大きな成果だった。

※写真は全て筆者撮影

マーケティングコンサルタントとして、中小企業支援及び指導、商業活性化事業、まちづくり事業等、顧客のニーズを的確に捉えた市場開発とアプローチ手法等、幅広い分野におけるマーケティング全般のアドバイスを全国各地で手掛ける。また、平成19年度より地域資源活用事業の政策審議委員、国会での参考人をはじめ、全国で地域資源を活用した事業推進、農商工連携事業、JAPANブランドプロデューサーなど幅広く活躍中。

  • 経済産業省地域中小企業サポーター
  • 同、伝統的産業工芸品産地プロデューサー
  • 中小企業基盤整備機構経営支援アドバイザー
  • 同、地域ブランドアドバイザー
  • 内閣官房 地域活性化伝道師
  • 同、クールジャパン地域プロデューサー
  • 広島県総合計画審議会委員 他

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経済産業省 中国経済産業局 電子広報誌

ちゅうごく地域ナビ 2020年3月6日掲載

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