エッセイ│素敵・発見!マーケティング

バンコクで毎年開催される、
大規模展示会のテーマと商品の変化

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株式会社クリエイティブ・ワイズ 代表取締役 三宅曜子

私はタイ国政府商務省国際貿易振興局(DITP)から依頼を受け、3年前まで毎年数回、タイ国内のものづくり中小企業の商品開発と販路開拓のサポートを行ってきた。また毎年10月にバンコク国際貿易展示場(BITEC)で行われる「STYLE Bangkok October」という大規模な展示会の総合プロデュースも行ってきたため、その後も企業のフォローを兼ねてこの展示会に毎年行っている。

今年は、10月17日から21日までの5日間でバイヤーのみの入場が17,18,19日、その後2日間は一般客も入り、購入もできる。3年前までサポートしていた企業の多くが出展し、新商品が多く出品されていた。

3ゾーンで展開されており、出展商品アイテムは、【ファッション&皮革製品(BIFF&BIL)】ゾーンには、バッグ、カジュアルウェア、子供服、アクセサリー、繊維製品、履物、フォーマル&ビジネスウエア、皮革衣料、レジャー・スポーツ&トラベルバック、下着、原材料、なめし皮、エスニック製品、オケージョナルウェア等、【ギフト&家庭用品(BIG+BIH)】ゾーンには、ギフト&プレミアム商品、家庭用品、室内装飾品、アニメキャラクター、文具、OTOP(タイの一村一品運動)製品、ペット用品・サービス、玩具・ゲーム、スパ製品、ウェルネス関連商品等、【家具製品(TIFF)】ゾーンには、家具、インテリア用品・部材等があり、47,000㎡の会場には7,000社、1,700ブースで展開されている。

11月には、タイでASEANサミットが開かれることもあり、そのテーマに則した様々な商品も展示されていた。

世界的なテーマである「環境問題」がここでも注目されている!

会場に入ると入り口の前にあるのがエコロジー、リサイクル、プラスチックを使わない提案コーナー。市中のカフェなどでもストローは紙、タイで良く見られる持ち帰り容器も紙になっているが、より積極的に提案するために、意識を高めるためのコーナーが設置されていた。ある面ではタイは日本よりプラスチックごみの量を減らす意識づけが行われていることが注目されている。

天然素材の見直しを積極的に行っている!

例えばバナナの葉やパイナップル、熱帯植物の葉の繊維などを積極的に取り入れた商品が多く見られた。

もともとタイはケミカルなものを嫌う国であるが、今回も天然繊維や植物、花、果物などから採取した染色や精油などは良く利用されている。日本の香木のように、ルームフレグランスも天然のものが多い。以前指導した天然素材を使った枠練り石鹸のメーカーは今回も様々なナチュラルなイメージを追及した商品が並んでいた。そのパッケージも手すきの紙が使われており、簡易包装で提案されていた。

また、皮に繊細なカットや組み込み細工を行うことが得意なバッグメーカーは、主にヨーロッパに輸出する商品開発を行っているが、今年はパイナップルの繊維を天然の素材で染めて織った布と、部分的に皮を使った商品を多く提案していた。

日本でも近年注目されている藍染め(インディゴ)は、アジア、特にタイでも昔から使われていた。これを現代のライフスタイルに合わせて、小物類やバッグなどを作るメーカーも長く指導してきたが、より洗練されてきている商品が並んでいた。

オーガニック、ナチュラル、人にやさしい商品は非常に多くの企業が取り組んでいた。

「60+」ブースは今年も確実にステップアップされていた。

最初は4年前に私が展示会サポートを行ったときに提案した、中高年、特に元気な50歳、60歳代の人たちをテーマにしたブース「60+」は今年もステップアップして出されていた。

今年はそれと合わせて、お母さんと子供のブースも出され、このテーマもナチュラルなものが多く出ていた。このテーマがずっと続いていることがとても嬉しかった。

インテリア、家具のテーマはリゾートホテル。

ホテル業界も今、過渡期になってきているが、日本人も含め、今海外リゾートの主流がアジアになっていることもあり、リゾートをテーマにした家具やインテリアのブースが目立った。設営にも凝り、リゾートホテルのスィートルームをそのまま持ってきたような作り込みになっていた。タイはチークやアカシアの木材を使い、昔は透かし彫りなど繊細な細工の家具類やインテリア雑貨が多かったが、最近はシンプルでできるだけ軽く、掃除がしやすい事なども考慮したものが多くなり、洗練されたデザインがヨーロッパやカナダ、アメリカやUAEなどで高く評価されるようになってきた。これも、インテリアデザイナーと家具職人のコラボが増えたことにも要因があるようだ。

ナチュラルな木のイメージは、ゆとりとリラクゼーションをもたらすが、タイはアロマ関連も非常に多いので、これらともコラボした展開にしているのも目立っていた。

今回は昨年度より世界的にみても景気後退の中で行われた展示会だったこともあり、華美なイメージより、ナチュラルでタイでしか作れない商品が多かった。

ナチュラルでエコロジー、リラクゼーション。これはもともとタイの文化の中にあるものだが、それをクローズアップして「タイならでは」といった商品が多かったのが印象的であった。

日本も来年オリンピックが行われるが、それで少し景気回復に向かうことを願っている。

※写真は全て筆者撮影

マーケティングコンサルタントとして、中小企業支援及び指導、商業活性化事業、まちづくり事業等、顧客のニーズを的確に捉えた市場開発とアプローチ手法等、幅広い分野におけるマーケティング全般のアドバイスを全国各地で手掛ける。また、平成19年度より地域資源活用事業の政策審議委員、国会での参考人をはじめ、全国で地域資源を活用した事業推進、農商工連携事業、JAPANブランドプロデューサーなど幅広く活躍中。

  • 経済産業省地域中小企業サポーター
  • 同、伝統的産業工芸品産地プロデューサー
  • 中小企業基盤整備機構経営支援アドバイザー
  • 同、地域ブランドアドバイザー
  • 内閣官房 地域活性化伝道師
  • 同、クールジャパン地域プロデューサー
  • 広島県総合計画審議会委員 他

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経済産業省 中国経済産業局 電子広報誌

ちゅうごく地域ナビ 2019年11月1日掲載

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