エッセイ│素敵・発見!マーケティング

令和元年8月、30年ぶりに広島~呉~松山
新クルーズフェリー就航!

顔写真

株式会社クリエイティブ・ワイズ 代表取締役 三宅曜子

瀬戸内海を就航するフェリーは、島々を渡るもの以外にも、広島から呉、松山を結ぶ便は、これまで1987年就航の「石手川」と1991年就航の「四万十川」の4隻を1日10往復の就航で、瀬戸内海汽船と石崎汽船がそれぞれ2隻ずつ所有している。

これまでは車と人を運ぶフェリーとしての機能性を重視した船であったため、どうしても快適性や娯楽性などは後回しであったが、この度30年ぶりに新たな船との代替えで「シーパセオ」名のフェリーが就航することになった。

これまでのフェリーの概念を全く変えて、まるでクルーズ船のような素敵な装いに変わった。

今回は瀬戸内海を楽しみながら、またゆったりとくつろぎながら航海できる新フェリーをご紹介する。

これまでのフェリーの価値を変えた新発想艇!

私は仕事で愛媛には以前からよく行っていたが、ほとんど高速艇での移動か、岡山まで新幹線で行き、そのままJRの在来線での移動だった。

なんとなくフェリーのイメージがピンとこなかったのがその理由で、重油の臭いと、少し薄暗い船内、座り心地の悪い椅子も苦手だった。

そのため、車で行く必要がある場合はしまなみ海道を通っていくことが多かった。

今回新たに就航した新クルーズフェリーは、「ひろしまグッドデザイン賞」審査のため、この「シーパセオ」の1日の就航が終わり、宇品港に入る18時から船内すべてを見学することとなったが、これまでのフェリーのイメージとあまりの違いに驚きと感動が沸いたものであった。

まず、外観から大きな違いがある。瀬戸内海の海の色は少し緑を帯びた紺色だが、船の外装はこの濃いブルーと白で、白部分の海面近くはライトグレーのツートン。上層階の横ラインはイエローのアクセントで、ゴールドのロゴ・マークは広島・呉・松山の3都市をハートで結び、その下に波をあしらっている。

ネーミングは「SEA(海)」と「PASEO(スペイン語で遊歩道)」の組み合わせの「シーパセオ」。ブランドイメージは「瀬戸内海を移動するみんなの公園」という、これまでの「海上を移動する公共交通」から「海上を移動する心地よい公園」というイメージになっている。

視察に行ったのが夕方18時からであったため、すでに薄暗くなっていたが、遠くに見えるこの船は明らかにこれまでのイメージとは違っていた。

船内は至れり尽くせり、時間を忘れる空間のつくりがまるでクルーズ船!

1階は車を乗せる部分であるため、2階から船内に入ってまず驚いたのが、船首部分の大きなパノラマウインドウと、その前にある欧米スタイルのソファ。先頭席は一段下がっていて、2列目に座った場合にも前の人が邪魔にならず、瀬戸内海の美しい海を満喫できる。

このエリアは「快」といい、パノラマ・ソファと呼ばれている。

その後方にはハイバックスタイルの、これも欧米から輸入した一人掛けのソファ席になっているが、まるで航空機のビジネスシートのようなイメージだ。

この「快」エリアの左側には、靴を脱いでくつろげる「GORONE(ゴロネ)エリア」や、右側には靴を脱ぎ、スリッパに履き替えて長椅子でくつろぐ「OZASEKI(オザセキ)エリア」もあり、ここでも大きな窓から瀬戸内海が一望できる。

その背面の中央部分には、インフォメーションとライブラリー、充実したメニューの売店がある。売店メニューはこれまでと全く異なるカフェスタイルで、トレンドのタピオカドリンクやパフェまで揃っており、お土産コーナーも洒落た女子好みのものが揃っていた。ライブラリーは海にちなんだデザインがユニークな絵本など、すべて無料で読むことができる。

この背面には飲食や仲間でテーブルを囲み話ができる「会」エリアになっており、明るいイエローの北欧スタイルのイスとテーブルになっている。個々の照明はあえて船舶のイメージを醸し出すデザインで統一されている。

このサイドにあるのが、パノラマカウンターで、流れるようなカウンターに一人掛けの椅子。テーブル下にはパソコン用コンセントも完備され、だれにも邪魔されず仕事ができるスペースだ。

その少し後ろ側には「KOAGARI(コアガリ)エリア」という、車座に座って楽しめる団らんスペースがある。ここの照明は「和」のイメージになっている。

女性として気になるのがトイレや授乳スペース。ここは感動したポイントの一つだった。

比較的男性が多かったこれまでのフェリーと違い、快適性を大きなテーマにしているだけあって、トイレはハイクラスのホテル並みの設備とデザイン。授乳スペースの中には、ベビーベッドやコンパクトなキッチン、湯沸かしポットまである。

女性がきっと喜ぶスペースだ。

船尾部と開口エリアは、ガゼボ風スペースとパティオ、デッキチェアで、海風が吹き抜ける。

船尾部側の「開」エリアは「そよ風のパティオ」と名付けられ、半屋外の空間になっており、吹き抜けと螺旋階段、円形に配したデッキチェアやウッド調ベンチで瀬戸内海の風と太陽、香りが満喫できるスペースだ。半屋内部分は「ひき波のHANARE(ハナレ)」という名前で、船尾部のため、船の波と遠くに見える島々を展望しながら靴を脱いで家族やグループで楽しめるエリア。ソファも長く、多くの仲間と一緒にくつろげる。

螺旋階段を上がった3階はこの船で最も特徴的な「シャイン・デッキ(屋上展望公園)」で、瀬戸内海をぐるりと一望できる一等地。3基の円形ガゼボ(あずまや)は海上に張り出すようになっており、ホワイトカラーが目立つ。このガゼボの周りには「しお風のグリーン・テラス」という、人工芝で公園を演出している。

この広々としたデッキでは、きっと子供たちが大はしゃぎするのが目に浮かぶようだ。

ちょうど19時になり、デッキの各所にトーチ状の照明が付き、とかく無機質なイメージになりがちなオープンスペースに温かい光で優しさが演出され、居心地のいい環境になっている。

私はこのフェリーだと、誰もがきっと満足すると確信できる。特に女性に優しい各所の設備やカラーコーディネイトは、この船に乗っている間、ひと時の時間を忘れ、ゆったりと快適に過ごせることだろう。

まだ1隻だが、来年夏にはもう1隻が就航する。

今までのフェリーのイメージを一掃し、「この船に乗りたい!」と思い、リピーターも増加、そして、瀬戸内海の美しさを、日本に訪れる海外の方々にも体験してもらいたい。

なにより、次回松山に出張するときは、まず私が乗ろうと思った。

※写真は全て筆者撮影

マーケティングコンサルタントとして、中小企業支援及び指導、商業活性化事業、まちづくり事業等、顧客のニーズを的確に捉えた市場開発とアプローチ手法等、幅広い分野におけるマーケティング全般のアドバイスを全国各地で手掛ける。また、平成19年度より地域資源活用事業の政策審議委員、国会での参考人をはじめ、全国で地域資源を活用した事業推進、農商工連携事業、JAPANブランドプロデューサーなど幅広く活躍中。

  • 経済産業省地域中小企業サポーター
  • 同、伝統的産業工芸品産地プロデューサー
  • 中小企業基盤整備機構経営支援アドバイザー
  • 同、地域ブランドアドバイザー
  • 内閣官房 地域活性化伝道師
  • 同、クールジャパン地域プロデューサー
  • 広島県総合計画審議会委員 他

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経済産業省 中国経済産業局 電子広報誌

ちゅうごく地域ナビ 2019年9月6日掲載

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