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日本スタイルの『働き方改革』を考える!

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株式会社クリエイティブ・ワイズ 代表取締役 三宅曜子

日本の有給休暇の取得率は3年連続で世界最下位という結果が新聞に載っていた。

これは折しも、取得率が多い国の一つであるスペイン出張から帰国する国際線の中で見た記事だ。

旅行サイトのエクスペディア・ジャパンが世界19か国の地域の有識者を対象にした2018年の有給休暇の国際比較調査で、日本での有給休暇は50%にとどまり、日数でも世界で最も少ない、10日間となっている。

2019年4月に働き方改革関連法が施行され、有給休暇取得の義務化が始まるが、従業員側の意識改革も是正していかなければならないようだ。

調査は2018年9月に世界19か国の地域で働いている18歳以上の男女を対象にインターネットで調査し、11,144人から有効回答が得られた。

有休取得率は日本の次に低かったオーストラリアでも70%を確保。日本は50%なので、圧倒的に低いことが分かる。

少々の雨でも外で立ち飲みするスペインのサン・セバスチャンのバル

夏のバカンスを1か月とり、暖かい南イタリアで過ごすドイツ人たち

日本の有休取得日数は、アメリカ、タイと並んで低く、取得日数が多い国はブラジル、フランス、スペインが30日とトップ。欧州は有休取得日数が多く、アジアは全体的に少ない。ちょうどこの記事を見る前はスペインに行っていたときで、フランス国境に近いビルバオとサン・セバスチャンに行き、その時フランスではマクロン大統領の政策に反対し、ガソリンの高さに抗議するデモがあり、フランス国境で大型トラックが100台近く道路をふさいで、フランスに入れないようにしていた時だった。

私は海外出張が多く、この調査の中で有休取得率が高い、フランス、ドイツによく行き、また、有休取得率が低いとされるタイには4年間毎月行って、中小・小規模企業の商品開発のサポートを行っていたため、その状況は身をもって体験していたことだった。タイやミャンマーでは、日本と同様、非常に仕事熱心で、遅くまで仕事をしている姿をよく見た。一方、ドイツなどでは、サマーバケーションは一か月近く取り、暖かい地域に家族皆で行き、のんびりとしている姿をよく目にした。

しかし、日本が最下位とは少し驚いた。なぜだろうか?

有給休暇の取得に罪悪感を感じる人が多いことが影響しているようであるが、私はそれだけではないような気がする。

日本人はなぜ、休暇が取れないのか?
土曜日は昼からバルに並ぶスペイン人。

私は会社のオーナーであるが、休暇はほとんど取れないばかりか、休日の土曜、日曜も働き、平日も事務所にいるときはほぼ毎日夜中まで仕事をしている。

海外出張が多いため、それ以外の日にデスクワークや企画書書き、デザインやパッケージなどのイメージ作りが詰まっており、休もうと思っていても休暇が取れない状況になってしまう。

特にマーケティングや広告制作、印刷会社、製造現場などは納期があるため、それがスケジュールの基本になっているためだ。休みたくても休めない。休むと納期が遅れ、クライアントからクレームが来て、仕事が来なくなる可能性もある。

このことは私が会社を設立して33年になるが最初から同じ状況だった。

私は従業員になったことはないが、社員を休ませたくても最小の人数でやっているため、誰かが休むと、他の人にしわ寄せがきてしまう。そして、その人が遅くまでやらなければならなくなる。

このことは、知り合いの、特に小規模企業の経営者に聞くと、全員が同じ悩みを持っていた。

ではどうすればいいのか?

スペインのバルは基3~4軒はしご。土曜日の夕方から4時間ほど飲み歩く。

フランスに26年住んでいる日本人の友人に聞くと、フランス人は個人主義で、仕事は仕事と考え、自分の休暇はしっかり取る。その結果仕事が途中の状態でも、やめて帰り、バカンスを取るという。彼女はフランスに住んでいる日本人なのに、自分はそれができないと言う。仕事の責任感の違いだと彼女は言っていた。

日本人は昔からまじめにコツコツと仕事をしてきて、小国なのに、世界からも注目される頭脳と技術の大国になった。しかし、学校で土日が休みになった頃から、自分の時間を大切にする考えの人たちが増えてきた。

これは働き方の違いにも通じるものがあると思われる。

また、経営者側からすると、人材不足が大きな課題となる。定時帰社、また有給休暇の完全取得になると、一人当たりの仕事の量が限られるため、人材を増やす必要が出てくる。人が多く必要になれば固定費が増え、社会保険や厚生年金など、会社負担増にもつながってくる。これは頭が痛い話が多い。

働き方改革を推進するために。

まったく私も他の経営者と同じだが、社員を早く帰らせるために自分が残り、休日にも仕事をすることが当たり前のようになっている。ほかの企業も社員が増やせれば問題なく解決するが、利益は残らなくなってしまい、借金を背負うことにもつながってくる。

しかし、よく考えてみると、みんなが8時間労働の中で、実際に効率よく仕事をこなしているだろうか。

効率を考えると、1時間でどのぐらいの仕事をこなしているかが、その人材の能力によっても違ってくると思われる。

昼休憩を講演でゆっくり過ごす北欧の人々。

私は企業の社員研修もよく行っているが、課題を出すと、効率よく手早く仕上げる人と、時間がたっても仕上がらない人が必ず出てくる。

これは作業効率というだけでなく、それができる人は自分の中で、1時間単位での仕事の内容を組み立てながらやっているのではないか。

同じ仕事をしても、1日でできる人と、数日かかる人がいるが、集中力も大きな要素になってくる。

単純に自分の職場の状況を気にしてしまうより、自分の仕事の計画を立て、1日でできるように組み立てをすると、最初はできなくても、徐々にできるようになってくるはずだ。それは、好きなこと、例えば趣味の世界などでは時間を忘れ、集中して行っている場合が多いが、それと同じだと思う。

有給休暇の取得に罪悪感があるかどうかをこの旅行サイトが聞いたところ、日本が罪悪感があると答えた割合が世界で最も高かったようだ。

学校で土日を休みにしたところ、学力が落ちてしまいまた戻したが、それより、1日でどこまでできるかを明確に計画を立てるほうが、有効な学力向上に結び付くと思われる。これまで当たり前とされてきた学校の勉強より塾の方が学力が増すというのも、塾では短時間で集中して勉強することができるからで、学校で6時間授業を行うより、短期決戦型の方が効率が良いことになる。

私も今年はあまり遅くまで仕事をせず、また休みもしっかり取れるようにすることから始めたい。そして、みんなが休みを取ることが罪悪感にならないようにするだけでなく、いかに効率よく仕事をするかということを企業全体で考えなければならないと思う。

『シェアする』ことも重要で、仕事をシェアする、家事をシェアする、休みもシェアする。自家用車でも自分が乗らないことが多いのに、自己所有にこだわるのではなく、カーシェアリングをすることが気軽にできるようになりたい。だいぶ前、日本ではまだなかったが、フランスの各所でカーシェアリングが行われていたことを思い出し、日本の様々な『シェアする』状況も大きく変わっていくのではないかと、『働き方を考える』ことから思うようになっている。

※写真は全て筆者撮影

マーケティングコンサルタントとして、中小企業支援及び指導、商業活性化事業、まちづくり事業等、顧客のニーズを的確に捉えた市場開発とアプローチ手法等、幅広い分野におけるマーケティング全般のアドバイスを全国各地で手掛ける。また、平成19年度より地域資源活用事業の政策審議委員、国会での参考人をはじめ、全国で地域資源を活用した事業推進、農商工連携事業、JAPANブランドプロデューサーなど幅広く活躍中。

  • 経済産業省地域中小企業サポーター
  • 同、伝統的産業工芸品産地プロデューサー
  • 中小企業基盤整備機構経営支援アドバイザー
  • 同、地域ブランドアドバイザー
  • 内閣官房 地域活性化伝道師
  • 同、クールジャパン地域プロデューサー
  • 広島県総合計画審議会委員 他

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経済産業省 中国経済産業局 電子広報誌

ちゅうごく地域ナビ 2019年1月4日掲載

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