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日本とアラブ首長国連邦との連携について

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株式会社クリエイティブ・ワイズ 代表取締役 三宅曜子

2017年10月にアラブ首長国連邦(UAE)のアル・マンスーリ経済大臣より、JETROドバイを経て、経済産業省の研究機関である独立行政法人経済産業研究所(RIETI)、及び中小企業庁に対し、UAEとの中小企業やイノベーションに関する今後の連携を主題に開催される「中小企業&イノベーションカンファレンス」への参加要請があり、私はスピーカーとして日本の実情についての講演を依頼された。

UAEの経済大臣からのスピーカーとしての招待状、及び当日プログラム

「中小企業&イノベーションカンファレンス」は、2017年11月13日、ドバイ(写真1)のインターコンチネンタルホテルの大ホールで開催された。

写真1:ドバイ市内の風景

日本から4名が招待され、中小企業政策を中小企業庁中小企業政策統括調整官の岸本氏、ベンチャー中小企業代表として株式会社Momo代表取締役の大津氏、アカデミック代表としてRIETI研究員の池内氏、そして女性起業家&マーケティングコンサルタントとして私が参加することとなった。

当日は、UAEの各大臣やJETROドバイの安藤所長をはじめJETROドバイ担当者、またドバイやアブダビの中小企業オーナー、ドバイにある日本企業の代表など、200名以上のオブザーバー参加があった。

写真2:UAE・日本経済フォーラム

また、2018年3月にはUAEからアル・マンスーリ経済大臣をはじめ、中小企業経営者等、前代未聞と言われる80名という大人数で日本に来られ、ホテルニューオータニで「UAE・日本経済フォーラム -戦略的な経済関係の構築に向けて-」が開催(写真2)され、ここでも私がパネルディスカッションスピーカー3名中の1人として参加し、分科会で「日本の今後のビジネス協力について-イノベーション・中小企業の挑戦-」のテーマで話をさせていただいた。日本側パネリストとして私の他に、虎の門法律事務所の弁護士さんと、音声から気分状態を可視化するエンジン「Empath®(エンパス)」を活用しメンタルヘルス対策やマーケティング等に役立つアプリケーションを開発(国内外で採用され、UAE内務省でも使われている)して事業展開を図るIT企業の方だった。

このような経験を踏まえ、今後のUAEと日本との国際連携や、ビジネス展開など様々なテーマで会合が進んだことから、今後期待される内容について記載してみる。

UAEとはどんな国なのか

UAEの基本データは、面積. 83,600平方キロメートルで、人口は約927万人(2016年現在)。首都はアブダビで、アラブ人が本国の国民であるが、外国人が全体の9割を占めるという。アラビア語が公用語であるが、ほとんどの人が英語を話す。外国人ではない旧来のUAE国民とその子孫へは手厚い支援体制がとられていて、教育は無料、所得税もなく、給料も一般より高給だ。

写真3:女性の服装「アバヤ」

女性は、「アバヤ」(写真3)といわれる体全体を覆う黒いロング服を着ていて、顔しか出さない。男性の正装は、白いロングの服「カンドゥーラ」で、頭には「グドラ」という白い布をかぶり「イガール」という黒やチェックの硬い輪で固定している。足は男女ともサンダルを履いている。

また、イスラム社会であるため、ハラル(ハラール)やラマダンなど、宗教的な要素も大きく、会議が終わってから市中のモール(写真4)に行くと、ある時間になると巨大モールの中でコーランが響いてくる。基本的に酒はホテルや外国人用レストランでは出されるが、イスラムの人は飲まない。豚肉や豚の一部を使った商品(サプリやスキンケア商品など)はタブーである。

高級モールの中の店舗(写真5)では、子供服のグッチやフェンディ、エルメスなど有名ブランドがずらりと並んでいて、価格帯は2~3歳用のセットでも日本円で20万円程度。誰が買うのだろうと思うが、地元の人だけでなく、特にドバイは外国人が非常に多いため、彼らも購入するのであろう。日本ではあまり見られない光景だ。

写真4:モール内の巨大水槽
写真5:ショッピングモール内のブランド子供服売り場
これからのUAEとは

2017年11月の「中小企業&イノベーションカンファレンス」では、アル・マンスーリ経済大臣(写真6)が司会進行、ゲストとしてアイルランド副首相のフランシス・フィッツジェラルド氏(写真7)、スピーカーとして日本からは前述の4名とJETRO赤星副理事長が登壇、UAE側からは4大臣がスピーチをされた。

写真6:会議前の控室でアル・マンスーリ経済大臣達と打ち合わせの様子(左)
写真7:会議前の控室でアル・マンスーリ経済大臣とアイルランド副首相のフランシス・フィッツジェラルド氏(右)

ここでのスピーチで、私は日本女性の社会進出の状況や、男女雇用機会均等法について、また海外、特にタイ国政府商務省からの依頼で4年間、タイ国内の中小・小規模企業に対する新商品開発や輸出を希望する商品のブラッシュアップなどを行った内容やサポートした商品について話をした。他の日本からのスピーカーの方達は、日本の中小企業について、またビジネスの新たな展開やAIに関する内容もあった。(写真8)

写真8:日本側スピーカーのプレゼンテーション(真ん中の眼鏡をかけた女性が私)

私が実際にドバイに行き、会議のスピーカーとして参加して思ったことは、会議に200名以上の参加者があったものの、女性の数が圧倒的に少なかったことだ。日本の国際会議の場合、1/3程度は女性の姿が見えるが、やはりUAEは男性社会が根強く残っているということなのか、終了後の昼食会場でも女性はほとんどいなかった。

またイスラム圏では肌を出すことが良くないため、UAE側に敬意を表すため、私は日本から着物を持っていき、それを着て出席した。

事前に教えられたのは、握手をするときも、女性と男性の場合は、必ず女性から手を差し出す事。その時もあまり肌を出さないようにするために、着物の袖を抑えながらUAEの大臣達と握手をするようにした。

訪れてはじめてわかった事や、さまざまな部分で日本との違いを感じた。

一方、日本で2018年3月に行われた「UAE・日本経済フォーラム」では、パネルディスカッション後、ビジネスマッチングが行われ、日本からも多くの中小・小規模企業が集まり、UAEの企業とビジネスの話が進んでいた。日本企業、UAE企業共にビジネスマッチングを非常に期待していて、特に日本の繊細な商品や先進技術に対し、UAEの参加企業からは興味を持たれる方が多く見られた。

その時、UAEから来られていた女性代表のBadria Aman Allah Kamaliさんと話をした。彼女はビジネスウーマンで、とても美しく、メイクアップもきれいにされていたが、UAEの数少ない女性経営者やビジネスに携わる人たちは、メイクアップや服装にもとても意識が高いという。彼女いわく、日本では女性の社会進出の歴史が浅いので、それを参考にしてUAEでも同じように取り組んでいきたいとのことや、近年女性が一人で車の運転ができるようになって行動範囲が広がったので、一層社会進出に拍車がかかると思われるとの話をいただいた。また、日本の女性の肌がきれいなので、化粧品などに興味がある事も話されるなど、UAEと日本との連携で様々なことができるような状況が生まれる予感がした。

これからの日本とのビジネスについて

日本はまだUAEについて知らないことが多いと思われるが、UAEは石油だけではなく様々なビジネスがあり、連携できる要素も大きいと思う。

2020年には日本ではオリンピックが行われるが、UAEでは万博が同時期に行われる。この博覧会には中東地域では初めての博覧会として日本館も出展し、本万博のテーマ「Connect」(つながる)をキーワードに日本独特の精神性、技術、文化等を素材とし、日本の力が切り開く未来社会の可能性を国際社会に発信していく。


  • 時間を超えてつながる
  • 空間を超えてつながる
  • 国境を超えてつながる

このテーマで日本らしさを強く印象付ける展示などを行う予定だ。

これを機会にUAEのことをもっと知って、日本のことを明確に伝えられるようにしたいし、ビジネスマッチングを充実できればよいと思う。

様々な面で期待したい。

※写真1,2,6,7,8はJETROドバイからの提供、写真3~5は筆者撮影。

マーケティングコンサルタントとして、中小企業支援及び指導、商業活性化事業、まちづくり事業等、顧客のニーズを的確に捉えた市場開発とアプローチ手法等、幅広い分野におけるマーケティング全般のアドバイスを全国各地で手掛ける。また、平成19年度より地域資源活用事業の政策審議委員、国会での参考人をはじめ、全国で地域資源を活用した事業推進、農商工連携事業、JAPANブランドプロデューサーなど幅広く活躍中。

  • 経済産業省地域中小企業サポーター
  • 同、伝統的産業工芸品産地プロデューサー
  • 中小企業基盤整備機構経営支援アドバイザー
  • 同、地域ブランドアドバイザー
  • 内閣官房 地域活性化伝道師
  • 同、クールジャパン地域プロデューサー
  • 広島県総合計画審議会委員 他

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経済産業省 中国経済産業局 電子広報誌

ちゅうごく地域ナビ 2018年5月11日掲載

Copyright 2018 Chugoku Bureau of Economy,Trade and Industry.

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