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国連調査で『幸福度ランキング』が世界でトップクラスの国

デンマークに行ってみた!

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株式会社クリエイティブ・ワイズ
代表取締役
三宅曜子

国連と米コロンビア大学が設立した『持続可能な開発ソリューションネットワークSDSN』が、155カ国対象、各国3,000人に「自分の人生を100段階で評価」した『幸福度ランキング』で、2016年度は世界で1位、今年3月発表の2014年~2016年通算ランキングではノルウェーに次ぐ世界2位の国、デンマークに、その実態を体感しに行ってきた。

ちなみに、日本はこのランキングで51位と、残念な結果であった。

あくまでも自分が幸せだと思っているかという主観ではあるが、一週間この国を見て、日本がもう少し意識しなければならないと思われるポイントが見つかった。

国連調査の『幸福度ランキング2017』からみたデンマークの状況

デンマークは、北欧の最南国で、国土は九州ほどしかない。面積が約4万㎢に、人口約559万人という小さな国であるが、日本に次ぐ世界で2番目に古い君主国(日本の皇室と同様)だ。その歴史は古く、紀元前1,200年頃から人が住み、この地方で新石器時代が始まったのは紀元前3,000年頃だという。

この小さな国に住む人の意識が「幸福」と感じるのはなぜだろうと調べてみた。

「World Happiness Report2017」では、デンマークは世界第2位。昨年度は1位であった。日本の51位と比較してみると興味深い。

幸福度ランキング2017のグラフ
(出典)John Helliwell;Richard Layard;Jeffrey Sachs. World Happiness Report2017,p.20.

このグラフの色分けであるが、ライトブルーが「GDP(実質国内総生産)」、ライトオレンジが「社会的支援」、オレンジが「健康寿命」、濃いブルーが「社会的自由」、ライトグリーンが「寛容さ」、紫が「汚職のなさ」、グレーが「それら以外」だ。

まず、GDPであるが、デンマークの平均年収は46,000ドル(約500万円)、その中で所得税が約1/3、預貯金はほとんどしないという。『税金が自分の預金と考える』ということだそうだ。

この税金で賄われている内容が素晴らしい。

  1. 公立であれば小学校から大学院まで授業料は無料。しかも、日本のように義務教育で、義務的に中学まで行くのではなく、親と子供で自主的に勉強するという環境づくりをしている。しかも大学では、国から毎月の資金まで提供される。
  2. 薬代を除く医療費が無料。これは外国人にも適用されるため、現地で病気やけがで入院した場合にも適用される。
  3. 大人の場合、労働時間は週37時間。日本では週40時間が一般的であるが、デンマークでは残業や休日出勤の習慣はない。
  4. 失業した場合、失業前の給料の90%が4年間支給される。
  5. 冠婚葬祭の式の費用が無料。
  6. 出産費用が無料。しかも出産後64週、両親休暇が有給で得られる。
  7. 介護費用や育児費用も無料。

今回行ってまず驚いたのが物品税の高さで、商品の25%かかるのだ。食材など、生活必需品はあまり高いとは思わないが、洋服や食器、インテリア用品など嗜好品等には25%かかるのも、社会福祉国家の財源となるのだ。

『Hyggeヒュッゲ』なデンマークのライフスタイル

日本人の女性で、コペンハーゲンに住んで30年以上という方に話を聞いた。

私が広島から来たことを知ると、いろいろと話をしてくれた。

彼女は、広島が本社の製パン企業のことをとても感謝していた。

コペンハーゲンには、日本人が3万人住んでいて、日本人会があるという。

この人たちを中心に、毎年桜祭りが行われるそうだが、この多くの桜の苗木は、製パン企業が寄付してくれたものが育ったことで生まれたそうだ。

私はこの企業の仕事を以前長く行っていたが、その時にはあまりピンとこなかった『Hyggeヒュッゲ』という言葉が、デンマークに行って、ここの価値観だとわかった。

その意味は、「人と人とのふれあいから生まれるあたたかな、居心地の良い雰囲気」ということで、ここに住む人の共通の要素なのだ。

観光客にとっても、この「居心地の良い時間や空間」はさまざまなシーンで感じられた。

まず、自転車がとても多く、移動の基本が自転車だということ。レンタル自転車も街のあちこちにあり、排気ガスが出ない移動をしている。そのため、街中に自転車専用レーンが張り巡らされていた。

1.街のいたるところで自転車バリエーションが! 2.荷物の運搬も自転車 3.町中自転車専用道路で安心

私は自転車では不安なので、コペンハーゲンに着いてすぐに駅で購入したのが「デンマークカード」だ。24時間、48時間、120時間とあるが、72時間で659クローネ(約11,800円)にした。このカードは市内や近郊のバス、電車、トラム、地下鉄、運河クルーズの乗船料が時間内はすべて無料。また、70以上の美術館、博物館、チボリ公園入場なども無料。提携店での割引もあり、使用可能な施設リストや地図が付いた冊子も付いてくる。これをフル活用して、船やバスなどであちこちに行き、十分に元を取ったカードだ。

4.デンマークカード 5.エキナカのオーガニックレストランのパスタメニュー 6.チボリ公園 7.日本にはなくなってしまったチボリ公園の一部

地図を片手に2つの宮殿に行ったときのこと、英語の地図を片手にバスに乗り、運転手さんに宮殿近くで降ろしてくれるよう頼んだところ、運転手さんは英語がわからず(デンマークでは基本がデンマーク語)、とても遠くまで運ばれてしまった。何か違うと途中で降りたものの、その宮殿までの行き方がわからない。バス停そばのオープンカフェの近くで地図を見ながら悩んでいると、食事中の女性が困っている様子を察して英語で話しかけてきてくれたので、「ここに行くにはどうしたらよい?」というと、丁寧に英語とデンマーク語を併記して行き方を書いて、反対側のバス停まで案内してくれ、乗るべきバスの運転手さんにデンマーク語で私が降りたいバス停を話してくれたのだ。

8.路地を入るとちょっと休憩できる小さなカフェが多くある 9.街中にある市場

市場では、店員さんが北欧の野菜の美味しい食べ方を英語で教えてくれ、チーズ売り場で迷っていたら、好みの味を聞いてくれて、たっぷりと試食をさせてくれた。

まさに観光客に対しても、「人と人とのふれあいから生まれるあたたかな、居心地の良い雰囲気」を提供してくれる環境があった。

これはフランスやドイツなどでは感じられない、ホッとするシーンだった。

10.日曜にはいたるところで大道芸が行われている 11.商品にはほぼEU基準のオーガニックマークが! 12.穀物もほぼオーガニックマーク付き
エネルギー自給率がほぼ100%のデンマークで意識していること

デンマークはエネルギー自給率がほぼ100%といわれている。

運河の海中には多くの風力発電のための風車があり、市庁舎をはじめ、古くからある建物の屋根部分はガラスになっている場合が多く、自然光をたっぷりと取り込んでいる。自転車で移動しやすいように専用道が充実しており、駐輪場も完備されている。

13.意外に小さい人魚姫の像、バックには風力発電の風車 14.海沿いにある風力発電 15.外光を取り入れた市庁舎 16.外光を取り込んだコペンハーゲンの駅

また、自然を大切にするため、多くの季節の草花が咲き誇るガーデンが一般公開されていて、地域のコミュニケーションの場になっている。高齢者のためのベンチは、公共施設には十分すぎるほど置かれており、石畳の歩道の中央にはコンクリートやタイルで段差がないようになっている。古い建物や駅には必ずエレベーターが設置され、高齢者などが利用しやすいようになっている。

17.無料の10ヘクタールあるボタニカルガーデンでくつろぐ市民 18.市庁舎の廊下には見学者用の椅子がずらり 19.市庁舎の中庭にも休憩スペースが! 20.コペンハーゲン市庁舎前のアンデルセンの銅像 21.市庁舎前広場ではFIFA女子サッカーのコペンハーゲン対オランダの試合を大画面で応援

また、赤ちゃん連れを多く見たが、皆バギーに乗せてトラムやバスに乗り、その専用スペースには、一般の人は立ち入らないようになっている。

日本は、駅や公共施設も、まだそこまではいっていない。私の母は高齢で足が悪く、東京の駅や公共施設でエスカレーターやエレベーターがないところが多いため、タクシーで移動することが多いが、東京と比較するとデンマークは高齢者がのんびりと歩く姿が印象的だった。日本では、赤ちゃん連れのお母さんや高齢者が電車などに乗っても席を空ける人は少なく、眠っている?人が多いが、デンマークはそのような人はいなかった。

22.とにかく多い、赤ちゃん連れと自転車 23.AEDの横には必ず使い方の説明パネルがある 24.日本よりわかりやすいAEDの使用方法 25.路面バスに乗るとすぐにあるゴミ箱 26.街のいたるところにあるゴミ箱 27.ホテルの部屋のゴミ箱もしっかり分別式

これからオリンピックに向けて日本も環境改善を行っていくが、もう少しデンマークを参考にしてみるのもいいのではないかと思っている。

マーケティングコンサルタントとして、中小企業支援及び指導、商業活性化事業、まちづくり事業等、顧客のニーズを的確に捉えた市場開発とアプローチ手法等、幅広い分野におけるマーケティング全般のアドバイスを全国各地で手掛ける。また、平成19年度より地域資源活用事業の政策審議委員、国会での参考人をはじめ、全国で地域資源を活用した事業推進、農商工連携事業、JAPANブランドプロデューサーなど幅広く活躍中。

  • 経済産業省地域中小企業サポーター
  • 同、伝統的産業工芸品産地プロデューサー
  • 中小企業基盤整備機構経営支援アドバイザー
  • 同、地域ブランドアドバイザー
  • 内閣官房 地域活性化伝道師
  • 同、クールジャパン地域プロデューサー
  • 広島県総合計画審議会委員 他

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経済産業省 中国経済産業局 電子広報誌

ちゅうごく地域ナビ 2017年9月1日掲載

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