素敵・発見!マーケティング
各地で考えたい防災設備
2025年5月16日
代表取締役 三宅 曜子
最近、国内外で災害が多く発生している。
自分たちでも自宅や事務所などで災害用の備蓄をしているのも多くなってきた。
日本でも南海トラフ地震などがいつ頃起きるのか、またその時にどうするのが良いのかなどが注目されるようになってきており、地方行政も各地で体育館など、災害発生時の避難先や避難方法を周知するようになってきている。
私も石川県の能登地方で大規模地震が発生した半年前の5月の連休時に輪島の『輪島会館』で震度6強の地震が起きた時にその場にいて、足にテーブルが落ちてきてけがをしてしまい、とても怖い思いをした。
その時の傷を見ると、災害対策の大切さをつくづく感じているが、中国地方はこれまで東北や北陸、関東、九州などと比べると、あまり大きな災害が無いため、少し意識が弱い方も結構いるのではないかと思われる。
東京の各区単位で行われている、エレベーターに設置の防災グッズ入りの椅子
先日実家の横浜に戻った時に、自分の東京のマンションエレベーターに三角形の座面のボックス型椅子が置いてあることを知った。
近くのスーパーマーケットや、エレベーターがある飲食店にも同じものが置かれている。
これは令和6年6月に、エレベーター用防災キャビネットの現物支給で、中高層マンションの防災備蓄品の購入助成が出ているとのこと。
区民の約8割が集合住宅に居住する現状を踏まえ、各区では、中高層マンションにおける自主防災組織結成の体制づくりを支援するため、防災備蓄品の購入助成の施策を実施しており、それを活用しているのだ。
その具体的な内容が各区の配布物に出ている。
概要
区内の中高層マンションにおけるマンション自主防災組織の結成促進のため、マンション自主防災組織の結成を前向きに検討している中高層マンションに対し、大規模災害時のエレベーターの閉じ込め対策に有効なエレベーター用防災キャビネットを現物支給する。申請は1組織に付き1回限り、かつ最大2個まで。
エレベーター用防災キャビネットの規格等
地震等でエレベーターが停止し、閉じ込めが発生した際に、エレベーターのかご内で復旧を待つ間に活用する保存水、簡易トイレ等の非常用品を収納したキャビネット。
エレベーター用防災キャビネットの有効性
首都直下地震が発生した際に、新宿区内で発生が想定されているエレベーターの閉じ込めによる被害は927台(都内全体のエレベーターの閉じ込めによる被害:2万2426台)※と推定されている。
地震等でエレベーターの閉じ込めが発生し、救助までの長時間を要する場合、エレベーターのかご内に、簡易トイレや飲料水等を備蓄した防災キャビネットを設置することが有効である。
※東京都が令和4年5月に公表した「首都直下地震による東京の被害想定」から引用

その他、防災備蓄品の購入助成もある
助成金額
助成金の交付額は以下の金額の範囲内。
- (1)助成金の交付額の上限は世帯数に応じて算出し、1戸につき2,000円とする。
- (2)助成金の交付額の上限はマンション1棟につき10万。
助成対象
下表に掲げる防災備蓄品の購入に係る経費について、助成金を交付する。
分類 | 品目 |
---|---|
備蓄食料 | アルファ化米、パン、ビスケット、パスタ、おかゆ、乳幼児用食料、お惣菜缶詰など(※) ※一定年数備蓄できる備蓄食料であること。 |
給食資機材 | カセットコンロ、カセットボンベ、炊飯袋など |
飲料・給水資機材 | 飲料水、給水袋、給水タンク、携帯型浄水器など |
トイレ資機材 | 簡易トイレ、携帯トイレ、防臭袋、トイレットペーパー、脱臭剤など |
マンション自主防災組織防災資機材助成

概要
区内の中高層マンションの自主防災組織の活動支援として、中高層マンション自主防災組織に対し、区が選定した防災資機材の中から、合計20万円(税込)の範囲内で、希望する資機材を現物支給する。申請は、1組織につき1回限り。
支給資機材
下記の26品目の中から、合計20万円以内(税込)の範囲内で、希望する資機材を現物支給する。
テント | 組立式トイレ | ガソリン式小型発電機 | 非常用階段避難車 | リヤカー |
---|---|---|---|---|
エレベーター用 防災キャビネット | 救出工具セット | 救急セット | 油圧ジャッキ | 簡易ベッド |
布担架 | ホワイトボード | トランシーバー | ヘルメット | 懐中電灯 |
拡声器 | 携帯ラジオ | 三角バケツ | 給水タンク | 警笛 |
カセットボンベ式小型発電機 | ポータブル蓄電池 | ソーラー充電器 | モバイルバッテリー | 安否確認タオル |
携帯型浄水器 |
令和7年度エレベーター用防災チェア配布事業について
私のマンションがある品川区では、マンションに対する防災普及啓発を目的として、区内の一定の規模以上の希望する共同住宅にエレベーター用防災チェアを無償配布し、マンションの防災対策の進展を支援している。
エレベーター用防災チェアについて
災害等で閉じ込めが発生した際に、エレベーターのかご内で復旧を待つ間に活用するための保存水、トイレ等の非常用品を収納した三角柱型の椅子型ボックス。トイレシートを本体に被せて、着座してトイレとして利用することもできる。
対象について
- (1)建築基準法(昭和25年法律第201号)その他関係法令に適合していること。
- (2)現に住宅として使用されていること。
- (3)住宅に係る部分の床面積の割合が、当該住宅の床面積(共有部分を除く。)の5割を超えていること。
- (4)エレベーターが設置されており、かつ、エレベーター用防災チェア等、エレベーターのかご内に災害発生時の非常用品を備えた容器等を設置していないこと。
- (5)3階建て以上かつ住戸数15戸以上であること。
配布数量
共同住宅1棟につき1台
中国地域にも必要なエレベーター用防災備品など
私は今回東京に戻り、どの区にもこのエレベーター用災害備品を入れた椅子があることに非常に重要な要素を見出した。それだけでなく、防災用品を一か所に備えることもしている。
自分自身、広島ではマンションの20階に住んでいるが、エレベーターが点検で使えなかったときに、20階から1階を歩いて往復するだけでヘトヘトに疲れてしまった。
普段スポーツジムでトレーニングをしていても、60メーターの位置から階段を上り下りするだけでこんなに疲れると思っていなかった。
しかも今ちょうど足を痛めているため、とても無理だと思う。
エレベーターのありがたさを感じるとともに、ここに閉じ込められ、長時間中にいなければならない状態になった時に、この中に災害用品が入っていたら、それだけで安心感が全く違うだけでなく、今片足を痛めているので杖を突きながら歩いているが、私のような障害を持つ人や高齢者などが、ちょっと座れるだけでもありがたい。
東京は首都圏直下型地震の可能性を考えて今のうちからこのような取り組みをしているが、これはどの県の地方行政でも必要なものだと思う。
ぜひ、検討していただきたいとつくづく思った。

スーパーマーケットやコミュニティ施設内のエレベーター用防災チェア

エレベーター用防災チェアの使い方掲示及び設置状況
著者 / 株式会社クリエイティブ・ワイズ 代表取締役 三宅 曜子
マーケティングコンサルタントとして、中小企業支援及び指導、商業活性化事業、まちづくり事業等、顧客のニーズを的確に捉えた市場開発とアプローチ手法等、幅広い分野におけるマーケティング全般のアドバイスを全国各地で手掛ける。また、平成19年度より地域資源活用事業の政策審議委員、国会での参考人をはじめ、全国で地域資源を活用した事業推進、農商工連携事業、JAPANブランドプロデューサーなど幅広く活躍中。
- 経済産業省地域中小企業サポーター
- 同、伝統的産業工芸品産地プロデューサー
- 広島市産業振興センター経営支援アドバイザー
- 内閣官房 地域活性化伝道師
- 同、クールジャパン地域プロデューサー
- 広島グッドデザイン賞、石川県、富山県 他ブランド審査委員 他