素敵・発見!マーケティング
世界に2000種類もある、じゃがいもの面白さを追求!
2025年1月17日
代表取締役 三宅 曜子
令和6年の最初のコラムは、生活に欠かせない食材の中で、今私が注目している『じゃがいも』について記載したい。
この時期はお正月休みが9連休の人も多く、おせち料理をはじめ、ぜいたくな食を堪能されたことと思われるが、その後仕事に入り、通常の食事に戻っていると思われる。
私も横浜の実家と東京の住まいに久々に戻り、広島の事務所に帰ってくると、北海道から6種類のじゃがいもを送っていただいていた。
全国的に暮れから年始にかけて野菜が高騰していて、びっくりする価格で販売されていたが、その中でじゃがいもが今まで知らなかった名前がついて売られていることが気になった。
じゃがいもは年齢や好みで好き嫌いに大きな差が無く、しかもとても簡単に食べられるため、この時期に無性に食べたくなってくるが、調べてみるととても興味がわいてきた。
じゃがいもの歴史と種類、特長など
じゃがいもは南米のアンデス山脈が原産で紀元前500年頃から栽培されているといわれている。日本へは17世紀ごろインドネシア経由で入り、その後アメリカから男爵やメークインの親芋が入ってきて、比較的寒い地方でもよく育つので北海道の広大な土地で植えられるようになった。
以前北海道に行ったとき、『インカのめざめ』という小ぶりで中身がきれいな黄色、食べると甘みがあり蒸しただけでもおいしいジャガイモがあり感激し、それを多くの知り合いに送ったことがあった。その時の名前に『インカ』が付いて、他にも『アンデス』という名前のものもあり、原産地がアンデス山脈ということを知った。
今ではじゃがいもの種類は約2,000種類、そのうち日本にあるのが20種類以上もあり、その特徴も様々。葉物野菜などは数種類なのに、じゃがいもはこんなに多くの種類でしかも味や形、収穫時期や適した料理も数多くあるので飽きが来ない素晴らしい野菜だと思う。
私が年始に送っていただいたものは『キタアカリ』、『レッドムーン』、『とうや』、『ピルカ』、『シェリー』、『デストロイヤー』の6種類。聞いたことが無い名前のものもあるが、すべて長期間研究され改良を重ねて品種登録されているものだ。
最も単純な食べ方が、洗って皮付きのままレンジ加熱し、熱いうちに皮をむき、そのまま塩胡椒やバター、マヨネーズなどを付けて食べる方法。これなら10分もかからず口に入るし、それぞれのじゃがいもの特長なども良くわかる。
私は両親ともに農水省で、父は東京農大時代から食材の研究をやっていたので、素材の面白さを幼少のころから感じていたが、今改めてその内容をしっかりと研究しようと思っている。
送っていただいた品種の歴史や特長
- 『キタアカリ』は比較的メジャーな品種。男爵とツニカ(ドイツの植物育種研究所で育成され、北海道農業試験場に導入)の交配種で、男爵より甘みが強く、ほくほくした食感。粉ふき芋やじゃがバターなどに向く。『くりじゃが』とも呼ばれている。旬は9月~12月。
- 『レッドムーン』赤い皮が特徴で別名『紅メークイン』。中身は黄色で、加熱するとより黄色が濃くなる。甘みが強く、しっとりとしていてサツマイモのようなコクがある。生産量が少なく、希少性が高い。煮崩れしにくいので肉じゃがやシチュー、カレーなど煮込み料理がおいしい。収穫期は7月~8月。
- 『とうや』は北海道農業試験場で育成され、1995年に品種登録された。重量感があり表面がなめらかでふっくらと丸みがある。煮崩れしにくいので煮物に最適。ほぼ周年出回る。
- 『ピルカ』1994年に長崎県でメイホウ(春作でやや多収。 青枯病に強い)と『十勝こがね』(1986年に北海道農試で育成され、2000年に品種名として登録)の交雑した種を北海道で育成し、2011年に品種登録。アイヌ語で『美しい』の意味。煮崩れしにくくメークインに似た卵型で、油で揚げるポテトチップスやフライドポテトにも合う。収穫期は8月~9月。
- 『シェリー』フランスでは赤皮でシェアNo.1の中早生品種。低温貯蔵により甘さがアップする。表面がピンク寄りの赤色で果肉は黄色。加熱するとより鮮やかな黄色になる。つるつるした手触りで皮が薄く、艶があり、低温貯蔵すると糖化が進みさらに甘みがアップする。収穫期は7月下旬から8月中旬。
- 『デストロイヤー』この名前は、昭和時代に活躍した覆面レスラー「デストロイヤー」の覆面姿に似ていることに由来している。(別名グラウンドペチカ)長崎県発祥のじゃがいも品種で表皮が赤紫色、中身は鮮やかな黄色というユニークな見た目が特徴。
サツマイモのような粘り気のある肉質で、栗のような濃厚な甘みと風味がありその見た目から皮ごとアルミで包みグリルにするなども良い。
世界中で食べられている野菜のじゃがいもをもっと知りたい!
考えると、野菜の中でも世界中で宗教や食習慣がちがっていてもおいしく食べられているものはじゃがいもがトップクラスではないだろうか。日本でも好き嫌いがほとんどなく、調理は簡単、しかもレンチンやフライパンで焼くだけでもおいしい。
最近特に米や野菜などが高騰している中で栄養面においてもじゃがいもは他の主食やいも類と比べると低カロリーで、カロリー制限中に食べる場合は、油を使った調理や濃い味付けを避け、蒸す、茹でる、電子レンジで調理するなどの方法がおすすめ。糖質や食物繊維の他、ビタミンB1、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸、パントテン酸、ビタミンCといったさまざまな水溶性ビタミンが多く含まれている。特に食物繊維は整腸作用など冬休み中に太り気味になった人にとってはうれしい成分が含まれている。
単に食材として使うだけでなく、身体に良い素材として、内容を知ったうえで使いたい。
私はさらにいろいろな種類のじゃがいもを全国に広めたいと思っている。

キタアカリ

レッドムーン

とうや

ピルカ

シェリー

デストロイヤー

じゃがいも3種とベーコン炒め

以前行ったパリの市場のじゃがいも売り場
著者 / 株式会社クリエイティブ・ワイズ 代表取締役 三宅 曜子
マーケティングコンサルタントとして、中小企業支援及び指導、商業活性化事業、まちづくり事業等、顧客のニーズを的確に捉えた市場開発とアプローチ手法等、幅広い分野におけるマーケティング全般のアドバイスを全国各地で手掛ける。また、平成19年度より地域資源活用事業の政策審議委員、国会での参考人をはじめ、全国で地域資源を活用した事業推進、農商工連携事業、JAPANブランドプロデューサーなど幅広く活躍中。
- 経済産業省地域中小企業サポーター
- 同、伝統的産業工芸品産地プロデューサー
- 広島市産業振興センター経営支援アドバイザー
- 内閣官房 地域活性化伝道師
- 同、クールジャパン地域プロデューサー
- 広島グッドデザイン賞、石川県、富山県 他ブランド審査委員 他