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素敵・発見!マーケティング

野菜のもったいない発想を考える!

2023年9月15日
株式会社クリエイティブ・ワイズ
代表取締役 三宅 曜子

野菜のもったいない発想を考える!

友人がコロナ禍に一大決心をして、以前から耕作放棄地を借りて、少しずつ行ってきた無農薬の野菜栽培を本格的に行うようになってきた。
 大型のコンポストに野菜などの残渣と発酵促進のための素材や炭などを入れて肥料にして試行錯誤しながら様々な野菜を作っている。
 この連日の猛暑の中で水やりだけでも大変なのに、雑草取りや、その雑草で土の乾燥を防ぐ工夫をしたり、虫よけのために、虫が嫌う植物を間に植えたりと、苦労しながら作っている。
 しかし、今年の猛暑は異常な状況で、あまり大きく育たなかったり、枯れてしまったり、上手にできなくて泣く泣く育たなかった苗を抜いたりと大変な状態で毎日手入れを行っている。
 そんな中で、今ちょうどなすが沢山収穫出来て、毎週私の所にも持ってきてくれる。
 今野菜の販売はJAに出して販売依頼をすることが多いが、サイズや形などのきまりがあり、それに合わない野菜は自分で販売するしかないが、路地ものだと同じものがたくさんとれるので、セット販売も難しく、知り合いに無料で分けるしかないようだ。
 米も同様で、今年収穫する新米を保冷庫に入れるためには、昨年のもみ殻付きの米をはかさなければならないが、それがどの農家も大量に余っているようだ。
 年々少子化になり、量がいらなくなるのと、ご飯そのものをあまり食べなくなったので、古米は売れないと言っている。
 精米前の米をはかすために、30キロ単位で格安で販売したいと言われるが、都市部には精米機も無ければ、少人数家庭が多く、30キロを食べようとすると相当育ち盛りの子供が何人かいる家庭でなければ必要ない。

規格外の野菜をどうすれば売れるのか?

野菜を販売するためには、規格サイズで作るのがベストだが、有機無農薬でつくる場合、規格に合わせて作ることは非常に困難だ。
 特にお盆や正月などには、市場に出せないため、大量に残ってしまう。
 毎日成長するので、タイミングが良い時に出せることは、非常に難しい。
 そこで、規格外の野菜をセットにして、月1回の周辺地域のみに定期配送する。その時、簡単に作れるレシピなどを添付して無駄なく使い切るようにすることを考えた。
 曲がっていたり、大きさがバラバラだったり、その時によって出てくる野菜が変化したりと、購入者の思い通りの内容にならないこともあるが、50cm程度のボックスで安く販売するなら結構な量の野菜が入るので、ご近所に配ったり、ある程度もつ漬物類にしたりと、色々な工夫ができる。
 私もテスト的にこの規格外商品セットをいただいたが、何人かに分けていくと皆さん新鮮な無農薬野菜なので、形が悪くても喜んでいただける。
 農家で余っている昨年の古米も30キロだと女性では持てないので、10キロ単位にして3袋で販売すると、都市部でも周辺に精米機がある場合、問題なく使える。
 私はあえて規格外の野菜を使ってメニューを作ったり、色々な方にモニタリングをしたりしたが、形やサイズが小さくても問題ない、むしろ有機栽培のものの方が安心して食べられると言われるが、量の問題や種類など、これから解決しなければならない問題、また価格や送料などについても検討する必要がある。
 しかし、このところ、特に食品全般の価格が高騰していて困っていることや、宅急便などの日数が2日間かかること、保冷で送ると更に送料が高くなる事など、これからまだまだ問題が出てくるため、作る側、使う側双方で考えなければならないことが多々出てくる。
 健康的な生活を送るためにも、安全で安心な野菜を食べられるよう、しっかり考えたい。

提供する規格外野菜のパッケージ
えくぼが出来た梨 とても小さなスイカ 曲がってキズが付いたなす 小さなサイズのジャガイモ

※写真は、筆者撮影

著者 / 株式会社クリエイティブ・ワイズ 代表取締役 三宅 曜子

マーケティングコンサルタントとして、中小企業支援及び指導、商業活性化事業、まちづくり事業等、顧客のニーズを的確に捉えた市場開発とアプローチ手法等、幅広い分野におけるマーケティング全般のアドバイスを全国各地で手掛ける。また、平成19年度より地域資源活用事業の政策審議委員、国会での参考人をはじめ、全国で地域資源を活用した事業推進、農商工連携事業、JAPANブランドプロデューサーなど幅広く活躍中。

  • 経済産業省地域中小企業サポーター
  • 同、伝統的産業工芸品産地プロデューサー
  • 中小企業基盤整備機構経営支援アドバイザー
  • 同、地域ブランドアドバイザー
  • 内閣官房 地域活性化伝道師
  • 同、クールジャパン地域プロデューサー
  • 広島県総合計画審議会委員 他


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