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素敵・発見!マーケティング

炭は住宅から農業、水産業などに大きな効果が期待できる。

2023年3月17日
株式会社クリエイティブ・ワイズ
代表取締役 三宅 曜子

昔の家には火鉢があり、その中で燃えているのが『練炭』だった。この練炭が広島の会社が作っている『日の丸練炭』であることを最近知ることとなった。
 この会社『日の丸産業株式会社』は昭和2年創業の100年企業で、今はメインがLPガスと業務用木炭、また炭の力を利用した環境改善として、住宅の床下乾燥や農業の土づくり、林業、また海の汚染防止なども行っている。
 この企業が、昨年、中小企業基盤整備機構に相談に来られたことで企業概要を知った。ちょうど私が高知県の野見漁協の組合長から、カンパチ25万匹や真鯛を養殖しているが、生餌を与えていて、その餌の食べ残しから海底に汚泥がたまり、海の汚染が気になるという相談を受けていたところ、この会社が間伐材の竹で作った炭『キレートマリン』を海底に置くことで、二酸化炭素を固定し、広島の海のアサリ養殖エリアの汚染を防げて育成状況も非常に良くなったことを知り、紹介して早速高知まで行ってもらい、海底に使ってもらった。これを使用したことで非常に良い結果が出て、海がきれいになり、今年もまたエリアを広げて行うことになった。この大きな成果は、他の養殖場でも同じ効果が出ているようだ。

高知の野見漁港はカンパチの養殖日本一。湾になっているため水が滞留せず、キレートマリンを撒く前の下が見えない海の状況 海には赤松炭と牡蠣殻にバクテリアを混ぜて散布する 須崎市の海に撒く日の丸産業のキレートマリン

炭と牡蠣殻。この牡蠣殻も広島産のもの 海の汚染がひどいところに炭と牡蠣殻、汚染を食べるバクテリアを混ぜて小分けして撒く炭と牡蠣殻 高知県須崎市の海にキレートマリンを投入してから3か月後の海の様子

エコでメッセージ性の高いパッケージで販売力強化!を実践

私は以前から湿気やカビの防止にプラスチックパックに入った塩化カルシウムで、下に水がたまる商品に疑問をいだいていた。塩化カルシウムは吸い込むとアレルギーなどの問題が起こり、そもそもその塩化カルシウムや水を捨てるのが大丈夫なのか、またプラスチックの容器そのものが環境に影響するのではないか、梅雨時やあまり開け閉めしない場所などに置くとすぐに水がいっぱいになり、しょっちゅう替えないといけないのが煩わしいことも気になっていた。その時、日の丸産業の広島産の赤松炭で作られたドライで消臭ができ、ダニ、カビ、湿気、臭いをなくす商品があることを知った。 これなら、広島県産の赤松を特許製法の特別な焼き方で炭にしたもので、データも明確にあり、他の木材の炭より湿度の調整ができ、しかもホルムアルデヒドやアンモニアの吸収も約2時間でほぼ0になるということもデータで裏付けされているので安心できる。

しかし、これまでは、その商品は調湿で消臭効果もあり、広島県産の赤松を使用して特許製法で炭にしているのに、パッケージには何も書かれておらず、『日本製 調湿 消臭 赤松炭』の記載と、その用途(例えば小サイズは靴・下駄箱用)が下に書かれ、さらに小さく『◇調湿効果 ◇結露、カビ対策 ◇シックハウス症候群の予防効果 ◇消臭効果』と、10ポイント程度の小さな文字で書かれ、データも明確にあるのに、ほとんど見えないぐらいのサイズで裏面に書かれていた。

以前の商品のパッケージ

SDGs宣言をしているが、本体は不織布で作られているものの、外の袋がOPP(二軸延伸ポリプロピレン)を使用している。多分、これではいくら良い商品でも売れにくいと思った。東急ハンズなど有名店に置かれているが、売り上げは芳しくないとのこと。  私はサンプルを使ってみてとても良く、安心できるのに、パッケージのメッセージ力がないからだと思った。しかも、3サイズあり、特にクローゼットなどに使用する場合はハンガーのネックなどに吊り下げられるようにすると、さらに利便性が上がると思った。  そこで、サンプルでいただいた大きいサイズの赤松炭の商品の角にはさみで切りこみを入れてハンガーに吊るしてみたら、やはり使いやすさがグンと増していった。しばらく使ったら天日干しすると永久的に使えるため、その時の洗濯ピンチも挟みやすくなる。  まず、コスト削減と、明確な用途の提示、データもわかりやすくし、どのサイズも同じ袋に入れて、袋の両面にこれらの特長を記載して、中に大、中、小のどれが入っているかが一目瞭然にわかるようにシールを貼り、この袋を防水の紙製にして、場合により一般の郵便料金で郵送もできるようなものにするようアドバイスをし、そのデザインをすることにした。

新たなパッケージ(表)の写真 新たなパッケージ(裏)の写真 新赤松炭(大)

パッケージの両面でしっかりメッセージが伝わると、中にチラシやリーフレットを入れる必要もなく、1サイズにすると、大は1個、中は2個、小は4個入れて同じ600円の価格にすることで、他の塩化カルシウムで下に水がたまるタイプの防湿材と同じ程度の価格になり、内容もさらにわかりやすくなる。  出来上がったものは思った通り、良く売れるようになっただけでなく、ちょっとしたギフトや自社商品を購入された方のプレゼントにも使っていただいている。  今、パッケージもエコが注目されているが、メッセージはできるだけわかりやすく、しかもSDGsを意識して明確に伝える必要があると思う。


※写真は、筆者撮影

著者 / 株式会社クリエイティブ・ワイズ 代表取締役 三宅 曜子

マーケティングコンサルタントとして、中小企業支援及び指導、商業活性化事業、まちづくり事業等、顧客のニーズを的確に捉えた市場開発とアプローチ手法等、幅広い分野におけるマーケティング全般のアドバイスを全国各地で手掛ける。また、平成19年度より地域資源活用事業の政策審議委員、国会での参考人をはじめ、全国で地域資源を活用した事業推進、農商工連携事業、JAPANブランドプロデューサーなど幅広く活躍中。

  • 経済産業省地域中小企業サポーター
  • 同、伝統的産業工芸品産地プロデューサー
  • 中小企業基盤整備機構経営支援アドバイザー
  • 同、地域ブランドアドバイザー
  • 内閣官房 地域活性化伝道師
  • 同、クールジャパン地域プロデューサー
  • 広島県総合計画審議会委員 他


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