劣化した蛍光灯器具による事故
2026年6月1日
中国支所 TEL:082-211-0411
NITEに集約される製品安全に関する情報
皆さんのご自宅や仕事場において蛍光ランプからLED照明への切り替えは、もうお済みですか。実は2027年末までに、一般照明用蛍光ランプの製造・輸出入が終了します(※1)。
蛍光灯をLED照明に変更するには、「蛍光灯器具ごとLED照明に交換する方法」と「ランプだけをLEDランプに交換する方法」の2種類の方法があります。しかし後者では、古い既設の蛍光灯器具を使い続けると、外観に異常がなくても内部の電気部品が劣化し、発煙・発火につながるおそれがあります。
今回は、そんな「見えないリスク」から身を守るために、既設の古い蛍光灯器具を使い続けて事故に遭わないように、注意喚起を行います。

蛍光灯器具から発煙する様子(カバーを外した状態での再現実験)
※1 2022年3月及び2023年11月に開催された「水銀に関する水俣条約締約国会議」において、水銀が人や環境に与えるリスクを低減するため、2027年末までに全ての一般照明用蛍光ランプについての製造・輸出入の禁止が決定されました。
【事故の傾向】
NITE が2016年から2025年までの10年間に受け付けた「蛍光灯器具の事故」は205件で、全体の事故発生件数は減少傾向にあります。
その一方で、ランプだけをLEDランプに交換していて発生した事故の発生件数が横ばいで推移を続けているのが特徴です。
電気工事業者に工事を依頼することなく既設の古い蛍光灯器具に、LEDランプを取り付けて使い続けると、安定器などの部品の劣化に起因する事故が今後も続くおそれがあります。
【事故事例1】
蛍光灯器具を使用中に、器具を焼損する火災が発生しました。(2023年 島根県 製品破損)
→蛍光灯器具の安定器(※2)内部で巻線のエナメル(巻線を保護する絶縁皮膜)が脱落し巻線同士の絶縁性が維持できなくなったために一部でスパークが発生し、事故に至ったものと考えられます。この蛍光灯器具は48年以上使用されていました。
(補足:この事例は、LEDランプの交換による事故ではありません。)
※2 安定器は、蛍光ランプに流れる電流や電圧を一定に保つための補助装置です。LEDランプでは直接電流を流すことで発光し、補助装置の役割をする回路がLED自体に組み込まれているため、安定器は不要です。
【事故事例2】
蛍光灯器具を使用中に、LEDランプを焼損する火災が発生しました。(2018年 東京都 製品破損)
→蛍光灯器具の安定器を取り外す工事をせずにLEDランプを取り付けて使用していた(※3)ところ、送電線事故による瞬時電圧低下時に安定器が正常に働かず異常な電流が発生し、その電流がLEDランプ内部の電源基板に流れて焼損に至ったものと考えられます。この蛍光灯器具は30年以上使用されていました。
※3 この事例は、安定器を取り外す工事が要らないグロースターター式の蛍光灯器具です。ランプだけをLEDランプに交換する方法については、後の「参考資料」の項で詳しくご説明いたします。
気を付けるポイント
蛍光灯器具は、単なる「ランプの取り付け台」ではなく、安定器や内部配線などの電気部品を内蔵した「電気製品」であるため、外観に異常が見られなくても内部では劣化が進行している場合があります。特に、器具内の安定器は長年の使用により絶縁性能が低下することがあり、その結果、発煙や発火などの事故に至るおそれがあります。
※4 ランプを取り付けて電力を供給する機能を持つ装置全体のこと。(蛍光灯器具/LED照明器具)
※5 耐用年限:照明器具が部材の経年劣化などによって徐々に劣化して不具合が生じ始めることによる交換及び不具合を生じる頻度が高くなることによる交換を必要とするまでの使用期間。

「蛍光灯器具」内部の様子

劣化が進んだ安定器の例(画像提供:一般社団法人日本照明工業会)

安定器から発煙・発火する様子(カバーを外した状態での再現実験)
日本照明工業会では、照明器具を設置してから8~10年を「適正交換時期」、15年を「耐用の限度」としています。蛍光灯器具の銘板に記載されている製造年を確認し、使用年数が目安となる10年を超えている場合は、新しいLED照明に蛍光灯器具ごと交換することを検討しましょう。

(例)蛍光灯器具の銘板の位置と記載
※銘板記載例の出典:一般社団法人日本照明工業会 LED照明ナビ(外部リンク)
点灯時に「ちらつく」、「異音がする」、「焦げたにおいがする」などの異常を放置すると、発煙・発火につながるおそれがあります。異常が認められた際は、直ちに電源を切って使用を中止してください。
【参考資料】蛍光灯をLED照明に変更する方法
天井に引掛シーリングなどの配線器具が取り付けられていれば、基本的に工事は不要で、LED照明に照明器具ごと自分で交換することができます。もし天井に配線器具がない場合や、別の形式の取り付けがされている場合は、電気工事業者に工事を依頼する必要があります。

天井に設けられた引掛シーリング

天井に引掛シーリングが設けられていれば、自分でLED照明に交換することができます。
蛍光灯器具の点灯方式に応じLEDランプを選定して取り付けます(※6)。
一見簡単そうに思えますが、この方法には注意点が多くあり、取り付けに関する仕様や手順がランプや照明器具ごとに異なります。このため、注意事項をよく確認しないまま自己判断で取り付けてしまうと、「不適切なランプ交換による事故」を引き起こすおそれがあります。
また、照明器具とLEDランプの組み合わせによっては、電気工事業者に工事を依頼する必要があります。
※6 蛍光灯器具の点灯方式にはグロースターター式、ラピッドスタート式、インバーター式(半導体式)があり、それぞれの点灯方式に応じたタイプのLEDランプを選ぶ必要があります。
- ・グロースターター式の蛍光灯器具対応のLEDランプの場合、グローランプを取り外して使うタイプと、LEDランプに付属の部品をグローランプソケットに取り付けて使うタイプが一般的です。
- ・ラピッドスタート式やインバーター式の蛍光灯器具にLEDランプを取り付ける場合には電気工事を伴うことが一般的ですが、「電気工事不要」を謳ったLEDランプも販売されています。これらを謳ったLEDランプを購入する場合、パッケージや取扱説明書に書かれている注意事項をよく読み、販売店や電気工事業者に取り付け方法をよく確認することが必要です。
NITEでは、3月26日に注意喚起として『見た目はピカピカ、中身は劣化~10年超え「古い蛍光灯器具」の事故に注意~』をプレスリリースしています。
今回ご紹介した劣化した蛍光灯器具による事故に関する詳しい分析結果の他にも、蛍光ランプの製造・輸出入の終了の契機となった水銀問題(水銀に関する水俣条約と水銀の有害性について)や、照明器具メーカーが行った蛍光灯に関する消費者の意識調査などについてもご紹介しています。併せてぜひご覧ください。
見た目はピカピカ、中身は劣化 ~10年超え「古い蛍光灯器具」の事故に注意~(外部リンク)
新作動画:照明器具「6.蛍光灯からLEDへ交換後、器具の劣化で事故」 (外部リンク)
製品事故収集情報
消費生活用製品の事故情報収集状況(4月5日~4月18日 受付59件)
NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
| 製品名 | 事故状況と件数 |
|---|---|
| 1. モバイルバッテリー | 火災など 10件 |
| 2. 電気かみそり(充電式) | 破損など 5件 |
| 2. 照明器具 | 火災など 5件 |
| 4. スピーカー(充電式) | 火災など 3件 |