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製品安全情報

リチウムイオン電池搭載製品の事故

2025年7月29日
独立行政法人 製品評価技術基盤機構
中国支所 TEL:082-211-0411

NITEに集約される製品安全に関する情報

製品評価技術基盤機構(NITE)では、NITEに集約される製品安全に関する情報を製品事故の未然・再発防止の観点から、製品安全情報メールマガジン(PSマガジン)によってタイムリーに提供しています。

夏は気温が高くなることで、身近な製品がいつもより熱を持ちやすくなります。モバイルバッテリーやスマートフォン、電動アシスト自転車など、繰り返し充電して使える「リチウムイオン電池搭載製品」では、夏場に事故が増加する傾向が見られます。

リチウムイオン電池には可燃性の電解液が含まれているため、大きな火災事故につながるおそれもあります。今回は、「リチウムイオン電池搭載製品」による火災事故を防ぐ3つのポイントを、事故事例と併せてご紹介します。夏バテ(夏のバッテリー)には十分注意してお過ごしください。

リチウムイオン電池搭載製品

【事故の実情】

NITE には、2020 年から 2024 年までの 5 年間に報告された「リチウムイオン電池搭載製品」の事故(※1)が1860件ありました。事故の約85%(1860件中1587件)が火災事故につながっています。また事故発生件数は春から夏にかけて気温の上昇とともに増加する傾向にあり、6月~8月にかけての事故発生件数が最も多くなっています。

※1 事故件数の中には、調査中の事故や原因は特定されていないが、リチウムイオン電池に起因した可能性があると推定される事故も含んでいます。

【事故事例1】

電動アシスト自転車用バッテリー及び周辺を焼損する火災が発生しました。(2022年6月 愛知県 40歳代・男性 拡大被害)

電動アシスト自転車用バッテリーが発火する様子(再現イメージ画像)

→バッテリー内部の湿気が、内蔵されたリチウムイオン電池セルのつなぎ目から浸入し、劣化等により内部ショートが生じて異常発熱し、発火したものと考えられます。
本件は、リコール対象製品による事故でした。購入後にリコール情報を確認しなかったことによる事故です。

【事故事例2】

自動車内でモバイルバッテリーを焼損する火災が発生しました。(2023年8月 熊本県 40歳代・男性 拡大被害)

自動車内でモバイルバッテリーが発火する様子(再現実験)
→モバイルバッテリーに内蔵されているリチウムイオン電池セルが異常発熱し、発火したものと考えられます。
夏場に高温下の自動車内に放置したことによる事故です。

【事故事例3】

モバイルバッテリー及び周辺を焼損する火災が発生しました。(2021年9月 沖縄県 30歳代・男性 拡大被害) ⇒

膨張したモバイルバッテリー(再現実験)

→使用者が膨張したモバイルバッテリーを押し込んで元に戻そうとした際に、外力が加わり、内部のリチウムイオン電池セルが内部ショートし、異常発熱して発火したものと考えられます。
膨張したバッテリーに衝撃を与えたことによる事故です。

気を付けるポイント

●「リチウムイオン電池搭載製品」の火災事故を防ぐ3つのポイント


(1)正しく購入する。
○連絡先が確かなメーカーや販売店から購入しましょう。
不具合や事故発生後に事業者からの補償を受けられない、事業者と連絡が取れないなどの事態が発生しています。販売元の情報を確認し、サポートが日本語に対応しているかどうか、連絡先(電話番号や住所)が実在するか確認しましょう。
○リコール対象ではないことを確認して購入し、購入後も常に最新の情報をチェックし ましょう。
リコール対象の「リチウムイオン電池搭載製品」による事故が2020年から2024年までの5年間で360件以上発生しています。お持ちの製品がリコール対象になっていないか今一度ご確認ください。
「NITESAFE-Lite」(外部リンク)で、リコール情報を検索できます。ぜひご活用ください。
○安価な「非純正バッテリー(※2)」に潜むリスクについて理解しましょう。
安価で入手しやすい「非純正バッテリー」で火災を伴う事故が多く発生しています。安価である分、安全のためのコストが削られている場合がありますので、安価な非純正バッテリーには “高リスク“ のものが潜んでいることを理解しましょう。

※2 機器本体のメーカーとは無関係の事業者から販売されているバッテリーで、機器本体の メーカーが、そのバッテリーの設計や品質管理に一切関与していないもの。

(2)正しく使用する。
○高温下に放置するなどして熱を与えないようにしましょう。
安価で入手しやすい「非純正バッテリー」で火災を伴う事故が多く発生しています。安価である分、安全のためのコストが削られている場合がありますので、安価な非純正バッテリーには “高リスク“ のもリチウムイオン電池は、高温環境下では熱の影響で異常な反応が起きて発熱・破裂・発火するおそれがあります。直射日光の当たる場所や暑い日の車内などの高温下には放置しないでください。のが潜んでいることを理解しましょう。
○強い衝撃を与えないようにしましょう。
リチウムイオン電池は外部からの衝撃が加わると内部に傷が付くことで内部ショートが生じ、発煙や発火につながります。また、膨張を元に戻そうとして強い力が加わったことで異常発熱して出火した事故も発生しています。地面に落としたり無理な力を加えたりしないようにしてください。
(3)正しく対処する。
○充電・使用時は時々様子を見て、異常を感じたらすぐに充電・使用を中止しましょう。
充電・使用時は時々様子を見て、異常を発見した場合は、すぐに充電・使用を中止して、お買い求めの販売店や製造・輸入事業者に相談してください。
○万が一発火した場合は大量の水で消火し、可能な限り水没させた状態で、119番通報しましょう。
万が一発火した場合、煙や炎が噴き出している時は絶対に近寄らないでください。モバイルバッテリーのようにポケットに入る小型サイズのものであれば、火花が収まったら大量の水を掛けることで消火することができます。消火後は、可能な限り水没させた状態で消防機関へ通報してください。リチウムイオン電池は消火後も熱をもっているため、火が消えた後に冷却しないまま可燃物に接触させると新たな火災につながるおそれがあります。

参考

【リチウムイオン電池の種類】

リチウムイオン電池は、用途に応じて円筒形・ラミネート形・角形の3種類の形状があります。

NITE では、6月26日に注意喚起として、“『夏バテ(夏のバッテリー)』にご用心~「リチウムイオン電池搭載製品」の火災事故を防ぐ3つのポイント~ “ をプレスリリースしています。今回ご紹介した事故の詳しい分析結果のほかにも、モバイルバッテリーのヒヤリハット・事故の経験の有無と内容に関するアンケート調査結果などの結果情報を掲載しています。ぜひご覧ください。

『夏バテ(夏のバッテリー)』にご用心~「リチウムイオン電池搭載製品」の火災事故を防ぐ3つのポイント~(外部リンク)

新作動画

製品事故収集情報

消費生活用製品の事故情報収集状況(6月15日~ 6月28日受付57件)

NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。

製品名 事故状況と件数
1. モバイルバッテリー 火災等 5件
2. 電子レンジ 火災等 4件
2. 洗面化粧台 火災等 4件
3. IH調理器 火災等 3件
3. はしご 破損等 3件
3. 照明器具(LEDランプなど) 火災等 3件

最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)

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