暖房器具の事故
2024年12月2日
中国支所 TEL:082-211-0411
NITEに集約される製品安全に関する情報
製品評価技術基盤機構(NITE)では、NITEに集約される製品安全に関する情報を製品事故の未然・再発防止の観点から、製品安全情報マガジン(PSマガジン)によってタイムリーに提供しています。
寒い季節には欠かせない暖房器具ですが、毎年火災事故を含む多くの事故が発生しています。「去年は問題なく使えたのだから今年も大丈夫だろう。」そんな思い込みは事故のもと。安全に冬を乗り切るためには、シーズンはじめや日々の点検がとても大切です。
今回は、石油暖房器具及び電気暖房器具について、それぞれ事故を防止するために点検方法や使用方法についてのポイントをご紹介します。
【事例1】石油暖房器具の火災事故
石油ストーブを使用中、石油ストーブ及び周辺を焼損する火災が発生し、2名が死亡しました。

石油暖房器具で気を付けるポイント
- (1)カートリッジタンクの給油口ふたが確実に閉まっていることと、漏れがないことを確認しましょう。また給油する際は、必ず先に消火してください。
石油ストーブ等の石油燃焼機器は、2009年に消費生活用製品安全法の「特定製品」に指定され、2011年以降に販売された製品では給油口ふたが音や目視または感触などで閉まっていることの確認ができる機能があります。
- (2)ガソリンを灯油とは別の場所で保管するなど、誤給油を防ぐための対策を徹底しましょう。また新しい灯油を使い、昨シーズンの灯油を使用しないようにしましょう。
誤ってガソリンや混合燃料を給油すると、少量の混入であっても火災のおそれがあります。灯油は灯油用ポリタンクなどの専用容器に、ガソリンは消防法に適合した金属製のガソリン携行缶に入れて保管し、間違わないように別の場所で保管しましょう。ラベル表示で区別するなどして誤給油を防ぐための対策を徹底しましょう。 - (3)使用時は、壁や周囲の家具、衣類などから指定された距離をとりましょう。カーテンや布団など燃えやすく動くものにも注意が必要です。
可燃物が近接していたり接触したりしていると、放射熱による過熱や高温部への接触によって、火災になるおそれがあります。 - (4)ほこりがたまっていれば取り除いて下さい。
使用を始める前に掃除を行い、シーズン中も定期的に掃除をしてください。特に石油ストーブの置台や、燃焼部位の近くなどにほこりがたまらないようにしてください。
石油ストーブにほこりなどが堆積すると、燃焼状態が悪くなったり、炎が逆流して石油ストーブの下からあふれる「吹き返し現象」が生じてほこりに引火したりするおそれがあります。また、石油ファンヒーターでもほこりにより空気取込口が閉塞することで異常燃焼する事故が発生しています。 - (5)対震自動消火装置が正しく作動することを確認してください。
確認方法としては、機器本体を前後に揺らしたときに、以下の動作が正常に行われているか確認してください。(確認方法の詳細は取扱説明書を確認してください。)- 【石油ストーブの場合】 芯を上げた状態から芯が下がりきること。
- 【石油ファンヒーターの場合】 使用状態から停止すること。
【事例2】電気暖房器具の火災事故
電気ストーブを使用中、電源コード付近から火が出て床が焦げました。

電気暖房器具で気を付けるポイント
(1)お使いの製品がリコール対象品かどうかをこまめに確認しましょう。
毎号でご案内している「NITE SAFE-Lite」から確認することができます。また、「消費者庁リコール情報サイト」でも確認することができます。
- (2)電源コードや電源プラグが変形・破損していないか確認しましょう。
- ・電源コード:被覆が破れていないか、亀裂が入っていないか確認しましょう。特に電源コードの本体側やプラグ側の根元付近を確認しましょう。
- ・電源プラグ:変形していないか、変色していないか、溶けていないか、コンセントに差したときに、緩く抜けやすくなっていないかを確認しましょう。
- (3)石油暖房器具と同様に電気暖房器具も、壁や周囲の家具、衣類などから指定された距離をとりましょう。カーテンや布団など燃えやすく動くものにも注意が必要です。また、就寝時や部屋を離れる際は電源を切るようにしましょう。可燃物が近接していたり接触したりしていると、放射熱による過熱や高温部への接触によって、火災になるおそれがあります。
- (4)使い始めて次のような異常が認められた場合は、すぐに製品の電源を切って電源プラグを抜き、メーカーに相談してください。
- ・本体の一部が変色や変形している。
- ・使用中バチバチという異音がする。
- ・ヒーターの加熱、首振り動作、温風ファンが時々停止することがある。電源コードを動かした時に停止することがある。
- ・焦げ臭いにおいが消えない。異常に熱くなっている箇所がある。
- (5)転倒時オフ機能(転倒時オフスイッチ等)が正常に作動するか確認しましょう。地震で製品が転倒した際やぶつかって製品が倒れてしまった際に、ヒーターの加熱をとめる大切な安全機能です。
ヒーターが点いている状態でヒーター側を上向きに倒し、ヒーターの加熱が停止するか確認します。(火傷には十分ご注意ください。)もし、ヒーターの加熱が停止しない等の異常が認められた場合は、製品の電源を切って電源プラグを抜き、メーカーに相談してください。転倒時 オフスイッチ
NITEでは2024年10月31日に注意喚起として『暖房、点検、ヨシ!~5つの点検で火災を未然に防ぎましょう~』をプレスリリースしました。
ご紹介した石油暖房器具、電気暖房器具の詳しい分析結果を掲載しています。また今回、神戸市消防局監修のもと、火災が発生した時の対処方法を掲載しています。
暖房、点検、ヨシ!~5つの点検で火災を未然に防ぎましょう~(外部リンク)
新作映像資料(映像資料:リンク先で動画が視聴できますので是非ご覧下さい)
(1)電気ストーブ「8.火災を防ぐ5つの点検」(外部リンク)
(2)石油ストーブ「16.火災時の避難、消火の目安」(外部リンク)
製品事故収集情報
消費生活用製品の事故情報収集状況(10月6日~10月26日 受付129件)
NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
製品名 | 事故状況と件数 |
---|---|
1. モバイルバッテリー | 火災等 12件 |
2. ノートパソコン・モバイル | 火災等 9件 |
3. ポータブル電源 | 火災等 7件 |
4. 太陽光発電器(パワコン) | 火災等 6件 |
5. 照明器具・ランプ | 火災等 6件 |
件数上位の3位までは、リチウムイオン電池を使う製品になります。尚、リチウムイオン電池を用いた製品の合計としてはトータルで41件ありました。全て火災等の物的被害です。
(その他、リチウムイオン電池式掃除機 5件、アシスト自転車・電動バイク用リチウムイオンバッテリー3件 ほか)