着衣着火の事故
2024年2月1日
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NITEに集約される製品安全に関する情報
製品評価技術基盤機構(NITE)では、NITEに集約される製品安全に関する情報を製品事故の未然・再発防止の観点から、製品安全情報マガジン(PSマガジン)によってタイムリーに提供しています。
冬場は、卓上こんろや暖房器具を使う機会が増えることに加え、厚着によって着火に気付きにくくなるため着衣着火の事故が発生しやすくなります。
着衣着火は、ガスこんろのように炎が出る機器だけでなく、電気ストーブ等の炎が出ない熱源を持つ機器に衣服が接触したりすることでも発生する可能性があり、やけどや火災、死亡事故が多く発生しています。
今回は着衣着火の事故をご紹介します。
【事例1】ガスこんろによる事故
ガスこんろを使用中、着衣に着火する火災が発生し、やけどを負いました。

→ 事故発生現場、使用者のやけどの状況などから、ガスこんろを使用中にこんろの火が着衣に着火したものと推定されます。
なお、取扱説明書には、「使用中はバーナー付近に触れないように注意する。衣服に炎が移ったりする場合があります。」旨、記載されています。
【事例2】電気ストーブによる事故
電気ストーブを背にして暖を取っていたところ、着衣着火する火災が発生し、やけどを負いました。

なお、同等品の本体及び取扱説明書には、「使用中、ヒーターやガード部等の高温部に触れない。」「可燃物の近くで使用しない。」旨、記載されています。
【事例3】ライターによる事故
ライターを使用後、衣服のポケットに入れたところ、衣服が燃えてやけどを負いました。

なお、本体表示には、「消火を確認する。残火、ガス漏れの原因となる異物混入のないことを確認する。」旨、記載されています。
事故を防ぐポイント
ガスこんろや電気ストーブ等を使用する際は、衣服と炎や熱源との距離を意識し、近づき過ぎない。
ガスこんろなどの炎は、目には見えていない部分にも存在するため、目に見えている炎から離れていても着火する可能性があります。特に冬の時期は重ね着などで衣服の厚みが出るため、衣服の過熱や着火に気付きにくくなります。衣服と炎や熱源との距離を常に意識して近づき過ぎないよう注意してください。また、火を消したつもりでも残火が生じている可能性があるため、しっかり消火を確認しましょう。火が出なくても発熱している電気ストーブ、白熱電球などの製品についても、油断せず十分注意してください。
また、調理中にガスこんろの奥の物を取ったり置いたりする行為は、衣服が炎に接近するので大変危険です。ガスこんろの奥には物を置かないようにするか、どうしても置く場合は火を消してから物を取るようにしましょう。
なお、衣服だけでなく炎や熱源周辺の物に着火するおそれもあるため、こんろやストーブなどの熱源の上や周囲に、ふきん、洗濯物、樹脂製品等の可燃物を置かないでください。また、熱せられることにより破裂するおそれがあるため、スプレー缶等も近くに置かないでください。周囲の物に着火し、それらが衣服に燃え移る危険性もあります。ガスこんろの周りは整理整頓し、できる限り物を置かないようにしましょう。
さらに、周囲でスプレー缶等を噴射すると、噴射剤として用いられている可燃性ガスに引火する可能性があるため、ガスこんろなどの使用中には周囲でスプレー缶等を噴射しないでください。同様に、冷却スプレーには可燃性ガスが含まれているため、使用した後に近くでガスこんろやライターを使用すると、着火するおそれがあるので注意してください。
火を扱う際は、裾や袖が広がった“だるだる”“もふもふ”の衣服や紐付きの衣服などを避ける。
調理中で炎が近くにある場合は、マフラーやスカーフなど長く垂れ下がる可能性のあるものは外して、裾や袖が広がっている、毛先が長い、毛羽立っている、紐が付いているような衣服の着用はできる限り避けましょう。特に化学繊維の場合は、溶けて皮膚に張り付いてしまうのでやけどの被害が大きくなる可能性があります。
調理の際にはエプロンやアームカバーを着用することで、裾や袖の広がりなどを抑えることができます。また、難燃・防炎仕様の素材は、炎が接しても着火しにくくまた燃え広がりにくいので、調理中の着衣着火の防止につながります。
着衣着火時の対処方法
直ちに水や消火器で消火を行う、周囲の人に助けを求める(すぐ服が脱げる場合は脱ぐ。)
近くに水場や消火器がある場合は、着火箇所に水をかけるなどして消火してください。また、衣類を素早く脱ぐことができる場合は、服を脱いでください。一人では対処できない場合もあるため、周囲の人に大声で助けを求めてください。
ストップ、ドロップ&ロール(止まって、倒れて、転がって)を行う。
服が脱げず、また近くに水や消火器が無い場合は、「ストップ、ドロップ&ロール(止まって、倒れて、転がって)」を実践しましょう。パニックになって走るなどしてしまうと、風によって酸素が取り込まれ、火の勢いが大きくなってしまうおそれがありますので、まずはその場で止まってください。そして、体と地面の間にできるだけ隙間がないよう地面に倒れ込み、燃えているところを地面に押しつけるようにしながら左右に転がることで消火させます。また、両手で顔を覆うようにして顔へのやけどを防ぎましょう。慌てず、落ち着いて対処しましょう。
ストップ、ドロップ&ロールについては以下の動画で紹介しています。
その他の着衣着火の事故の事故情報も併せてご参照ください。(映像資料:リンク先で動画が視聴できますので是非ご覧下さい)
- (1)ガスこんろ「7.着衣着火」(外部リンク)
- (2)ガスこんろ「8.近くに置いた可燃物に着火」(外部リンク)
- (3)ガスこんろ「11.着衣着火2」(外部リンク)
- (4)その他「素材別燃え方の違い」(外部リンク)
- (5)ライター「1.ライターの残火(ざんび)」(外部リンク)
- (6)スプレー「2.冷却スプレー使用後、シャツに着火」(外部リンク)
- (7)消毒液「1.使用後に火気に近づいて引火」(外部リンク)
(注意喚起ミニポスター)