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もうけの羅針盤

自社の開発技術を守り・攻める~オープン・クローズ戦略~

自社開発した独自技術を守り、攻めるために、オープン・クローズ戦略を行う。<平成29年度制作>

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この知財の開発元

株式会社フジワラテクノアート

岡山県岡山市北区富吉2827-3

http://www.fujiwara-jp.com/

電話番号086-294-1200

代表担当:常務取締役 狩山昌弘

開発ストーリー

醸造機械

醸造機械のリーディングカンパニー!

創業以来、フジワラテクノアートは、醤油、味噌、清酒、焼酎など日本の醸造食品を生産するための機械を手掛けてきた。そんなフジワラテクノアートの技術力の高さを世に広めたのが、自動製麹装置。これまで人の手でないと出来ない、機械では無理だとされてきた、【麹づくり】を日本で初めて自動化に成功させた。国内において製麹機械は、80%のシェアを誇る。
時代とともに、日本の醸造技術が海外でも注目されるようになり、また日本の醸造食品メーカーの海外現地工場の設立なども多くなると、醸造機械・プラントの輸出も増加。岡山県から日本を飛び出し、今では世界20か国以上に機械や、装置、プラントの輸出を行っている。醸造分野で培ってきたノウハウを活かし、ろ過・粉体殺菌機械も開発。一般食品業界やバイオ業界にも注目を浴び、卓越したプラントエンジニアリング力で世界の食文化を陰で支えている。

自社の開発技術

技術をいかにして守り、攻めるのか!

自社開発した技術を守るために、フジワラテクノアートでは、積極的に特許出願を行っている。その特許出願に関して、すべての技術を特許出願するわけではない。
機械や装置開発を行うため、納入後は誰でも機械や装置を見ることができる。それ故にすぐにわかるもの=真似する事が出来るものは特許出願し、機械や装置の操作・ソフトの面などは、ノウハウとして管理し、自社の開発技術を守っている。いわゆる、オープン・クローズ戦略を行っている。

オープン・クローズ戦略についてはこちら ※http://www.inpit.go.jp/content/100578260.pdf
(特許庁リンク)
関連動画は、鮫島先生の知財戦略のススメ

自社技術

過去の失敗から学び、技術を守るために方針転換!

15年前までは、開発した独自技術はすべて特許出願を行っていた。しかし、海外で特許調査を行いある事実が発覚した。それは、海外の競合メーカーが、その国で特許出願や特許権利を取得していること。長い時間かけて開発した自社の技術が簡単に真似されないよう、オープン・クローズ戦略で自社技術を守るという方針を固めた。

自社技術

成功ポイント

事業戦略において知的財産権は痛し痒し、特に最近は多くの技術開発が進んだことから、権利範囲を広い、強い特許権を生み出すことが難しくなっており、特許明細書の記載内容は技術範囲を特定して記載していく傾向にあるといえます。詳しく記載すれば、それだけ技術を明らかにすることとなり、適切な明細書を作成しなくてはノウハウが流出することにもなりかねません。一方、明細書に具体性が無ければ特許査定されないこととなり、権利を確保することができません。特許出願で全部の技術を公開するのか、一部に抑えるか、すべて秘密にするか。模倣を防ぐならば、ノウハウとして秘密にすればいいですが、他社に類似技術を特許登録された時は、その企業より早く使用していたことを立証しなくてはなりません。また、特許情報のグローバル化により主要国の知的財産権情報はインターネットで検索閲覧することができることから、外国であっても情報は公開されています。
このような中で本件のオープン・クローズ戦略をどのようにとらえ考えていくか。

事業戦略から考えるオープン・クローズ。オープン化は、知的財産権の有無に関係なく、保有する経営資源を第三者に対して使用を許諾し事業展開を図り、市場規模拡大を目的に他社と協調していくこと。クローズ化は自社のみが独占的に事業を行い、市場シェアの拡大確保を目的に、技術のブラックボックス化や知的財産権による障壁を設けることとなる。特許出願すると特許査定・登録の成否にかかわらず、原則として公開されるため、他社に開発動向を把握されたり、模倣されたり、周辺特許を取得される可能性がありますが、事業戦略としては自社技術を明示して他社をけん制し、特許査定されれば権利活用によりライセンスや標準化することで市場優位性を持ちつつ市場の拡大が期待できます。
事業のビジネスモデルを踏まえ、オープン化・クローズ化する領域を明確にして事業戦略を設定していくことが重要となります。この設定を曖昧にすると戦略が機能しない上に事業そのものの競争力や優位性を失いかねません。オープンにすることによる事業の広がり、クローズにすることによる自社ビジネスの競争優位確保、このバランスをとることが大切です。フジワラテクノアートのように全社員がオープン・クローズ戦略について理解を深め、事業を広げるために公開して良いこと。自社を守り競争優位に立つために秘密とすることが、以前にも増して必要となってきています。知的財産権のオープン・クローズを考えることは、社員一人一人が持つべき戦術として習得しておくべきものになってきています。

フジワラテクノアートの醸造食品機械は、構造、機構、部品形状、生産方法、制御方法…等、さまざまな技術とともに製造ノウハウを組み合わせて装置を構成しています。このような技術を事業展開から考え応用範囲を広げ、オープン・クローズ戦略を考えていこうとする事業活動は模範的であり、大いに参考とするべきものだといえます。

オープン・クローズ戦略を考えたうえでの特許出願の考え方として、
・分解してもわからないことや製造方法については特許出願せず秘密とすること。
ただし、秘密とする場合いつ開発したものかを公的な日時確定をする。
そのために公証役場での確定日付やタイムスタンプ(※1)を活用することをお勧めする。
・特許出願する際は事業構想を整理し、技術調査を行い、事業戦略に詳しい弁理士や事業を踏まえた知財戦略を得意とするコンサルタントや支援機関のアドバイザーを複合的に活用する。
・事業展開・ビジネスモデルを踏まえ、先を見据えた知財戦略をもとにし、必ずしも自社技術だけでなく、他社技術との融合も踏まえる。

※1 参照 (独)工業所有権情報・研修館 タイムスタンプ保管サービス
https://faq.inpit.go.jp/tradesecret/ts/ts_service.html#page1

桑原良弘 知財活用プロデューサー

桑原良弘

知財活用プロデューサー

ディスプロ

大手メーカーで生産設備や独自商品の開発設計・商品化に従事した後、コンサルティング会社にて、新事業・新商品の開発・知的財産の権利化に16年携わる。同時期に中国経済産業局特許流通アドバイザーとしても活躍。2007年より独立、製造業の顧問や地域機関と連動した企業の開発支援などに奔走中。